第12話 柴田勝家・獅子身中の虫を大掃除する
1539年(天文8年)
織田弾正忠信秀・御前
那古野城の広間は、氷のような静寂に包まれていた。
織田信秀の前に数冊の帳簿が並べられている。その横で、14歳の勝家が平伏し、その対面に織田家筆頭家老・林秀貞が、勝利を確信した卑怯な笑みを浮かべて座っていた。
「殿、ご覧ください。これが柴田権六勝家が、津島の商人から受け取った『裏金』の証拠。そして勝家の部屋に隠されていた、公金横領の控えでございます!」
林の声が響く。周囲の老臣たちも「左様、若輩者に商談まで任せるからこの体たらくよ」と追従する。
『勝家くん。林の思考レベル、「A:勝利の絶頂」よ…馬鹿ね。自分が出した帳簿の内容に、何が書かれているかも気づかないなんて。』
勝家は伏せたまま、唇の端をわずかに吊り上げた。
「……林殿。その帳簿、本当にお調べになりましたか?」
「黙れ、小僧!今さら言い逃れなど。。。」
「林。裏金に公金横領とな?証拠の帳簿とやら、内容は確かなのだな?」
信秀の低く鋭い声。林が恭しく差し出したその帳簿を、信秀が開いた瞬間───部屋の空気が凍りついた。
信秀の目が、獲物を殺す虎のように細まる。
「………秀貞これは、どういうことだ?!ここには柴田勝家の名など一文字もない。代わりに御主がこの3年、熱田の関銭から掠め取った『1500貫』の流用先が、キサマの直筆で克明に記されているが?」
「……えっ??!(大汗)」
林秀貞の顔から、みるみる血の気が引いていく。
『フフフ、アイちゃんのマジックタイムのタネ明かし!林一派が勝家の部屋に押し込んで「裏金帳簿を発見した!」と騒ぐ。
さっき秀貞が内容を確認後、懐に入れた瞬間ワタシがデータを書き換えたのよ~!!』
『アイリスの手に掛かればデータ書き換えなんて朝飯前だなw』
『一瞬よ!だって本物の「林の裏帳簿」が存在したんだもんwそれと中身を入れ替えただけよ。おまけに、林が土田御前(信長・信勝の母)に贈った賄賂のリストも、公認会計士ばりに精密に整理しておいたから!』
『ざまあ~だなw』
慌てふためく林秀貞
「な、何かの間違いでございます! 拙者の直筆などと、そのようなーー(大汗)」
『さあ勝家くん、ワタシがパクってきた例の書状を出そうか。これでTHE END、試合終了ねウフッ』
柴田勝家
「大殿様、某の部屋にこの様な書状が置かれておりました。きっと林一派が部屋に押し込んだ際に、落としていったのかと…」
「ほお?どれ………」
勝家から手渡された書状を確認した信秀は、それを床に叩きつけた!
「林!キサマが将来、儂に三男が生まれたら、それを担いで儂を強引に『隠居』させる為の戦に備えた兵糧備蓄計画書とな……
実弟、林
「ひ?!ひいいぃぃ!!」
林秀貞は、まるで糸の切れた人形のように崩れ落ち、畳に額を擦りつけた。
顔面は土気色を通り越して真っ白。
アイちゃん『あらあら。思考レベルは~「レベルF:絶望の暗黒」だそうよw御愁傷様ねテヘッ』
「殿! わ、罠でございます!! これは柴田の小僧が、何やら妖術を使って。。。」
「妖術等と
勝家がゆっくりと顔を上げ、冷徹な瞳で林を見下ろした。14歳とは思えぬ絶対的な強者の視線。
「将来的に貴殿が信勝様を担いで乱を起こすまで待って差し上げようかと思いましたが………
あまりに計画が
そこへ、広間の襖が勢いよく開く。
5歳の
「カカカカカ! ジジイ、無様な面だな。勝家の言った通りだ!ネズミが虎を騙そうなどと100年早いわ! 父上、こんな腐った枯れ葉、早く庭から掃き出してください!!」
「……林、地下
「「「はっ!!!」」」
信秀専属の屈強な護衛兵士と小姓達が襲いかかる。
信秀の沙汰を待ての言葉は、林秀貞にとっての死刑宣告に等しかった。
林とその一派は
織田家筆頭家老・林 秀貞
哀れドナドナされました…
その背中を見送りながら、織田信秀は勝家を褒め称えた!
「柴田勝家!まだ赤子の信勝を神輿にしようとしていた(林一派)の重鎮たちを、反乱を起こす前に芽を摘み取った!天晴れ大義である!」
「は、ははぁ~」
□◆□◆□
勝家とアイちゃんは脳内でハイタッチを交わした。
『任務完了、勝家くん! 林の派閥はこれで壊滅。他の信勝ちゃんを担ぐ連中も、震え上がって解散するわよ!』
『これで城内は、かなり静かになるな。』
吉法師「勝家!大手柄だ!」
「吉法師様、次は『熱田の利権』の再編に取り掛かりましょうか。」
「おう! 勝家、お主の『毒』は最高に美味いな!」
こうして14歳の勝家が仕掛けた時短殲滅により織田家の不純物は、芽を出す前に踏み潰され、若き軍師と吉法師の覇道はさらに加速していく。
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