第13話

第3章 縁起


① 見えない区別


この店では、

運がいいとか、悪いとか、

そういう話はあまりしない。


勝ったか、負けたか。

それより前に、

「今日はどういう日か」が

なんとなく分かってしまう。


朝の空気。

牌の音。

誰が最初に笑ったか。


それだけで、

今日は大安か、

それとも大凶か。


理由は説明されない。

説明しなくても、

みんな同じ方を向く。


私は、

その区別を

言葉にしない側にいた。


縁起がいい人。

縁起が悪い人。


どちらが正しいかじゃない。

近くにいて、

安心するかどうか。


それだけだった。


この日も、

何も起きていない。


まだ。

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