第3話 ヴァンパイアになってしまったレヴロス
「言ったでしょ?貴方の事気に入ったって」
「だからって初めて会った相手に求婚するのか?!」
「え〜ダメなの?」
「私には帰りを待つ妻と息子が居るからな...それは出来ない相談だよ」
帰ろうとするレヴロスは行手を阻まれた
「嫌よ…返さないわ!」
「どいてくれ…頼む…」
「絶対嫌!こうなったら最後の手段よ!」
そう言うとヴァンパイアの女はレヴロスに襲いかかって来た
「うわっ!私に戦う意思は無い…止めてくれ!」
レヴロスは寸前で攻撃を交わしながら後退する
「これを逃したら今度良い相手に出逢える保証は無いのだもの…覚悟して!」
「女性に好かれるのは悪く無いけどこの状況はヤバい…どうしょうか」
レヴロスは城の中を逃げ回りながら考えていた
部屋に入り身を隠すスペースを探していると彼女の話があながち嘘でも無い事がわかった
「この写真に写ってるのは彼女か…ヴァイオレット・アンバー・ネグローゼって書いてあるな」
白黒の写真に写っていたのは間違いなく彼女だった
夫らしき人物と寄り添って幸せそうだ
子供も居たらしく幼子と写ってる写真もあった
そして本棚の片隅に日記らしきものも見つけた
○月○日
今日はライオネットが成人して初めての夜
あの子は騎士団の宿舎で上手くやれるかしら?
心配だけど仕方ないわ…
私には祈る事しか出来ないのだもの
ライオネット?はて聞いた事あるような…まさかビルクレンド騎士団のライオネット・トラキアス・アストレット卿の事か?
だとしたら凄い人の母親だと言う事じゃ無いか
ビルクレンド騎士団はこの辺りでは有名な騎士団でファルデアン王国とも競い合った事もあると聞いた
その騎士団に属していたライオネット・トラキアス・アストレット卿は凄腕で隻腕になっても敵を薙ぎ倒していたと伝説なった人物だ
これは二百年も前の話だったはず…今ではビルクレンド騎士団は解散してしまったはずだからな
もしかしてあの町の人達も不老不死に近い状態なのでは無いかと言う仮説が立てられた
何故ならば彼女が来たのは最近だと言っていたからだ
ずっと彼女はこの城の主であったのにおかしい話である
あの町は時の流れが他と違う可能性が高くなった
だとすればあの要請も嘘だと言う可能性さえ出て来た
「踊らされていたのか私は…」
思わずそう呟いていた
「見つけたわよ〜さぁ観念なさい!」
恐ろしい仮説に取り乱しそうになっていたレヴロスは急に冷静を取り戻すと彼女に問いかけた
「君はヴァイオレットなんだね?息子さんはライオネット・トラキアス・アストレット卿で間違いない?」
「…日記を見たのね…そうよ…私が手紙を使って貴方を呼び寄せたのよ」
「何故そんな事を?」
「言ったでしょ?新しい伴侶が欲しくなったからよ…屈強な身体を持った騎士…逞しくて美しい肉体は芸術品だわ」
「狂ってる…でもその矛先を別の騎士達に向けさせる訳にはいかないかな…」
「覚悟を決めたのね?ならこっちに来て…」
レヴロスはヴァイオレットの方に行くと抱きつかれた
そして首筋に牙を突き立てられた
意識朦朧となり気がつくとレヴロスもヴァンパイアと化していた
「私と死ぬまで一緒にいましょう…」
レヴロスはここに来るまで手紙を書いて送り続けて環境を報告していたのだ
それは今後も続けて行くのだった
ヴァイオレットに隠れて続けるのは大変だったがその結果バルトの息子が助けに来てくれたのだった
それによりヴァイオレットは退治されてレヴロスは数十年ぶりに故郷に帰る事が出来たのだった
その事をエルドランが知る事になるのはレヴロスと再会して数日後になるのだった
あの町の人達は自分達が死んでいる事を知らずに夜な夜な町で暮らし続けて居たらしく夜以外は町は廃墟の状態だったらしい
レヴロスはこの出来事は自分にとって経験したくても出来ない経験が出来たと振り返ったと言う
ただ心残りだったのは妻が亡くなる時に側に居られなかった事だったと言う
「母上は死ぬまで父上の事を待ち続けていました…明日には帰ってくるとずっと言い続けていました」
「そうか…苦労をかけたなエルドラン…不甲斐ない父を許してくれ」
「もう良いのです…こうして生きて帰って来てくれたのですから」
「バルトの墓にも参らねばならんな…奴も最後まで騎士として立派に務めたと聞いたからな」
「あの一年後に奥様と出逢われてご結婚されましたよ…バルト様のご子息は今は騎士団の一員として共に戦っています」
「彼が助けに来てくれなければ私はここにいないからな…感謝しても仕切れないよ」
「あの町の人達も聖なる力により成仏してもらいましたからね…ようやく安らかな眠りにつけたようです」
「そうか…手間をかけたな」
「いいえ…これからは死ぬまで共に歩みましょう…再び父上の背中を追える幸せを噛み締めますよ」
そう言われたレヴロスは照れ笑いを浮かべるのだった
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