壱環

壱環


二礼二拍手一礼。


脳内で繰り返しながら私は新年のお参りをした。


(大事な人達も世界も神様もハッピーな1年になりますように)


私「……」


合わせた手のひらにぎゅっと力を入れた後、『と他力本願なのでありました……』と心の中でセルフツッコミをすればふわりと風が吹いた。


「個人の願いをしない無欲な人間かと思えば強欲じゃないか」


(あはは、そうですよ)


「今度は開き直りか。図々しいな」


(逞しい、です)


「それは少し意味が違……ん? ︎︎君、私の声が聞こえるのか? ︎︎『神』の声に驚かないのか?」


(母方の祖母がイタコの家系だから⋯⋯ですかね?)


神「そうなのか?」


(はい。でも私霊感なんてもうほぼないと思うんで、神様の力が強いんでしょうね)


神「否定はしないな」


(あはは! ︎︎俺様だなあ)


神「神様だ」


(そうでしたそうでした。……っと、後ろの人や待ってる友人に悪いのでそろそろ行きますね)


神「また会えるか?」


(うーん。じゃあ、神様から私に会いに来てください)


神「私から?」


(はい。だって神様が私に会いたいんでしょう? ︎︎ならそっちから来てくれないと)


神「君……なかなかいい性格をしているな」


(ふふっ、よく言われます)


神「だがそうだな。ご立派な願いをする割に君が神社に来たのは一年以上振りのようだし、君を待っていてはまた新しい年を迎えてしまいそうだ」


(ははは……その通り過ぎて何も言えませんね。というかなんで知ってるんですか? ︎︎話したのはこれが初めてですよね?)


神「ああ。人間が神社を参拝すると最後に訪れた場所と日付、願いが頭上に表示されるんだ。履歴を辿ることもできるぞ」


(へー!)


神「まだ他にもあるが聞きたいか?」


(聞きたいですけどそれを口実に私の方からここに来させようとする感じがするので聞かなくていいです)


神「チッ」


(あはは、性格悪い神様だな〜。

ま、とにかく私に会いたかったら神様の方から来てくださいね!

と言っても、もちろんここを離れることで神様や神社によくないことがあったり、神様が代価を支払う必要がなければ、ですけど! ︎︎……じゃ、失礼しますね!)


私は言いたいことだけ言って一礼すると友人の元へと向かった。

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