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Kuu

序章

序章


『ゴーン』


「新年あけまして〜?」

「「おめでとうーーー!!!」」


友人達とジョッキ代わりに甘酒の入った紙コップをぶつけ合うと伊知いちが口を開いた。


伊知いち「いや〜あけたね〜! ︎︎今年は5人で来れたね〜! ︎︎ことよろだね〜! ︎︎さむ〜……って、甘酒あっつ!?」

丹々にに「伊知は今年も元気そう。本厄でも災いの方から逃げてくんじゃない?」

さん「あはは! ︎︎伊知のアンラの方が強くて的な?」

伊知「え! ︎︎厄も跳ね返しちゃうって私最強じゃない!?」

芭纓はよん「うん、伊知にはそのままでいて欲しいわ〜」

私「ね〜」


のんびり返事をして甘酒を飲んでいると芭纓がじとっとした目を私に向けていた。


芭纓「まともぶってるけどアンタも大概だったからね?」

私「へ?」

丹々「そうそう。あんた何年か前に『神様と友達になった〜』とか言ってた時期あったでしょ?」

燦「あれは本気で心配したわ」

私「その節は変わらぬ距離でいてくれてありがとう」


ぺこりと頭を下げれば当時を振り返るように遠くを見た燦が口を開いた。


燦「あん時付き合ってた彼氏と会話こじれまくった末に別れてしんどそうだったよね」

丹々「ね。相当きてたのか『同じ言葉を話していてもニュアンスが違うなら他言語。互いがバイリンガルになるつもりじゃないと詰む』『心がすれ違って遠くなる。これも立派な遠距離恋愛』って迷言なのか名言なのかわからんの連発してたし」

私「はは……あれはほんとに堪えました……」


私がうなだれると伊知がぽんと肩を叩いた。


伊知「だからね、君が不思議発言しててもハッピーそうだったからいっか的な感じで見守ることになったんだよ〜」

芭纓「大体そんな感じだけど、こんなどっしり構えてたのは伊知くらいよ。私にとっちゃ普通にホラーだったから」


芭纓はバサリと言い切ってクールに甘酒を飲んでいるけれど、当時真剣に話を聞いてくれていたことを私は覚えている。


私「ふふっ。私愛されてるなあ。ありがとっ」


ガバッとみんなに抱きつくと「零れるから」「暖とれる〜」などそれぞれらしいコメントと共にハグが返ってきた。


……


というわけでこれからお話するのは昔あった不思議な数ヶ月の話。


少し長くなっちゃいますけど、よければスキマ時間にでも聞いてやってください。

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