第47話 いざ、根ノ国へ
根ノ国へと続く大トンネル。
神楽丘学園側からやってきたのは、神々の精鋭部隊のようだ。
「待たせたなー」
先陣をきって現れたのは、武の神と呼ぶに相応しい雰囲気を纏っている。
「よぉ、久しいな」
「あやつは、
こと戦闘ともなれば、弟者と並ぶ実力の持ち主じゃ」
それが聞こえたのか、
「姉者よ、ばか言っちゃいけねぇよ。俺の方がまだまだ数段上だぜ。
タケの実力っていうなら、そうだなぁ……あの状態のユウキといい勝負なんじゃねぇか?」
と、親指を立てて俺を指し示す。
「ああ? 『ユウキ』だと? ……人間じゃねぇか。いや……混じってるのか?」
ギロリと睨みつけるような視線を向け、俺を値踏みするかのように、頭の先から足の先までゆっくりと視線を滑らせてくる。
「あ、どもっす。えっとー、ユウキっす。
どこまで喋って良いのか悪いのか……そういえば、神様相手に自己紹介なんて、今までやったことがなかったような。
俺はチラチラと
すると、
「こやつはの、
今回、根ノ国、果ては黄泉の国までも同行することになる。
人間じゃからと侮るでないぞ? 実力のほどは、弟者が申したとおりじゃ」
合流した他の神々も「ほほう」と声を上げて、俺を値踏みするように見つめ、互いに顔を見合わせていた。
ざわつく場を切り裂くように、
「新たな穢れの群れが来ます」
一瞬で警戒態勢をとり、シンと静まり返る。
トンネルの奥から、うにょうにょと奇妙な音が響いてくる。
やがて、地面を埋め尽くすほどのツチノコ……禍蛇と、その奥には双頭の大蛇が群れをなして迫ってくる影が見え始めた。
「丁度いいじゃねぇか。ユウキ、見せつけてやれ。やれるな?」と不敵に笑う。
あの数相手にか? 冗談……じゃなさそうだな。
逆に、今ここで、あの程度の群れを対処できないようなら、ここから先へは行かせない。
そんな気迫を感じ取った。
ようし……やらいでか!
「もちろん、やってやるさ」
武者震い。
「フータ! デンスケ!」
「おお!」
「まかせろ!」
え!?
イザナギの勾玉も、激しく脈打って反応している。
前よりも力がみなぎってくる!
「ぉおお!!」
「「「
前回は力に振り回された感があるが、今回は――
駆け巡り、斬りまくり、元の場所へと戻る。
風と音が遅れてついてきた。
ドッパァ――――ン★
「(ユウキ、さっきのあれ……毎回叫ぶのか?)」
「(サンダーストームってのは、なんだべか?)」
「なんていうか……そう! これは、男のロマンよ」
「え? あーっと……なるほどなるほど。まあまあ、やれそうなのは分かった。
しかし、随分と余裕ぶってるじゃないか、人間よ。さっさと穢れを倒しに――」
穢れの群れがいた方に振り向いた
押し寄せてきていたはずの穢れの群れは、すでに消し飛んでいる。
「もう倒してきたぜ?」
目を丸くして絶句する神々の中で、
「なんてこった――。なんてこった!!
ユウキ、と言ったか。すげぇ技持ってんじゃねぇか!!
そうかそうか。認めてやるよ。ハッハッハッ!
でもま、俺の本気にはちぃとばかし及ばないだろうがな!
アーッハッハッハッ!!」
……見た目と雰囲気だけじゃなく、言うことも
「さすが
久々に頂きました『
「みなのもの、これで分かったであろう? ユウキはただの人の子ではないのじゃ」
「「「おおー!!」」」と歓声が上がった。
それと同時に、
ドォン……。
トンネルの奥深くから、重たい衝撃音が響いた。
足元の地面がわずかに震える。
「穢れの群れ……大物が迫ってきます」
「ほう」
トンネル奥の闇が、ゆっくりうごめくと、さっきの倍はありそうな禍蛇と双頭の大蛇、そのさらに奥から、三つ首が姿を現した。
異ノ国で戦ったヒドラによく似ている。それが群れを成して迫ってくる。
「懐かしいのがいるじゃねぇか。なあ、ユウキ」
「俺も久しぶりに腕が鳴るな」
大剣を片手でぶん回す
雷を帯びた剣を静かに構える
二柱の武神が、同時に前へ出た。
圧巻――
「ユウキ、お前に見せてやる」
そう言って、
「異ノ国の俺が、まだまだ『本気』じゃなかったってことをなぁ!!!」
次の瞬間、
地を這う衝撃波はトンネルの奥深くまで一直線に走り、穢れの群れを吹き飛ばす。
三つ首のヒドラまでもが、その一撃で消し飛んでいく。
「フッ。相変わらずの力技だな」
轟く雷鳴のごとき一撃とともに、眩い雷光が一直線に奔った。
三つ首のヒドラも黒焦げになって消えてゆく。
二柱のたった二振りで、禍蛇と双頭の大蛇を殲滅。
三つ首のヒドラも、その数を減らしていた。
残った三つ首のヒドラ数匹が突進してくる。
「あ、良かった。俺の出番、残ってるっすね」
二刀を携えた神が、すすっと前へ出た。
「フッシー、あとは任せてよいか?」
そう言って、
「全部、貰っちゃっていいよね?」
フッシーと呼ばれた神は腰を低く落とし、スラリと二刀を構えた。
「にひっ★」
土煙を残して、フッシーの姿が消えた。
と、ほぼ同時に、数体残っていた三つ首のヒドラの首が全て弾け飛んだ。
「
すると、
「「俺には及ばないがな!」」と張り合う。
やっぱり、この二柱は同類だ。
ヒドラの残骸が黒い塵となって消え去ると、トンネルは再び静まり返った。
しかし、その静寂もつかの間、再び神楽丘学園側から重い足音のような振動が伝わってくる。
相当な人数がこちらへと向かってくるようだ。
また増援の到着か?
トンネルの奥にいくつもの光が灯り、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。
やがて、その姿がはっきりと見えた。
甲冑をまとった軍勢。
数十……いや、百は下らない。
「
よく通る低い声が響いてきた。
「……あいつか」
「我らは、
ざわ……と神々の間に緊張が走る。
「おぬし――
して、
巨大な槍を携えた神が頭を下げる。
「はい。
そして、力強く言った。
「
後ろの軍勢が、槍を地面に打ちつける。
ドンッ!!
響く重い音。
「この地に生きるすべての神の戦いである、と」
「ほぉ……」
旧友に向ける表情だ。
槍を持った
「我ら
そして、槍を胸に当てた。
そして、ふっと笑う。
「よかろう」
その声は、はっきりとトンネルに響いた。
「ならば、共に戦おうぞ」
「機は熟した! いざ、根ノ国へ!!」
ピシッ☆
このノリ、久しぶりだ。
気持ちが昂る。
「「「「おおー!!」」」」
神々と一緒に、俺も雄たけびを上げていた。
そこへ、
そして、その渦中に俺がいる。
これは戦争じゃない。
けど、ただの戦いでもない。
これは――
世界を元に戻すための、浄化のための合戦なんだ。
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