第7話 「子ども会ヒーロー選手権」
夏休みの午後。
公園の掲示板に、太いマジックで貼り紙があった。
《子ども会ヒーロー選手権
※ちゃんと一位を決めます》
その一文のせいで、
公園の空気は、少しだけピリッとしていた。
段ボールの鎧。
ビニールのマント。
即席ヒーローたちは、
互いをちらちら見ながら整列する。
「オレは狩りメンライダー!
ジャンプ力最強!」
「私はアンコパンマン!
回復役だから大事!」
「俺たちがオツカレンジャー!
三人いるから有利だろ!」
流れマンは、
なぜか審査員席に座らされていた。
首から紙の名札を下げて。
「じゃあ能力対決だ!」
ジャンプ。
パン配り。
肩叩き競争。
見ているうちに、
子どもたちの声が荒くなる。
「今のズルだろ!」
「そっち卑怯!」
「点数ちゃんとつけて!」
空気が、重くなる。
流れマンは、
手を挙げて止めた。
「ヒーローは、
強い順に並ぶものですか?」
子どもたちは黙る。
「一番速い人が一位?」
「一番多く倒した人?」
狩りメンライダーが言う。
「ヒーローは勝つやつだろ」
流れマンは、
少しだけしゃがんで目線を合わせた。
「勝ったあと、
誰が笑ってました?」
沈黙。
アンコパンマンが、
小さく言う。
「……お腹すいてた子」
オツカレンジャーの一人も言う。
「……肩叩きしたら、
お母さん、楽そうだった」
流れマンは立ち上がる。
「じゃあ、
今日の一位は――」
子どもたちが息をのむ。
「一番、誰かの方を向いてた人です」
ざわっとする。
「ずるい!」
「それ曖昧!」
流れマンは、笑わない。
「ヒーローは、比べると壊れます」
少し考えてから、
最後にこう付け足した。
「でも、向きは比べられる」
夕暮れ。
順位表は、白紙のまま。
それでも子どもたちは、
少しだけ静かに帰っていった。
マイナーヒーローは、一つ、
大人に近づいた。
町内ヒーロー 流水戦士 流れマン 虫松 @mushimatsu
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