荊棘の城(おどろのしろ)

炯螺〜kayla

♯00「はじまり」


私は、御灯月乃ごとう つきの、大学を卒業してから、不動産会社でインテリアコーディネーターとして働いている。

入社して三年、忙しい日々を過ごしながら、ようやく任される仕事も段々と増えてきた。

そんな毎日を過ごしていると、ふとした瞬間に思い出してしまう……私の妹のことを。


妹は御灯陽乃ごとう はるの――

私達は双子の姉妹で、子供の頃は何をするにもいつも一緒だった。

けれど、15年前のある日を境に、私達は一緒ではなくなった。

私だけが大人になり、妹は10歳の……あの頃の少女のまま、今も時が止まったかのように眠り続けている。


妹のことを考えると、記憶がいつも途中で途切れる。

はっきりと覚えていなければいけない出来事のはずなのに。

思い出そうとすると何故か、頭の中に霧がかかったかのように思い出せないでいる。


理由はわからない。

だけど、ずっと胸の奥に引っかかっている。


これから書かれていることは、私が妹について調べていくための記録だ。

自分でもどこまでやれるかはわからない。


それでも、このまま何も書かずにいるのは、もう無理だと思ったのだ。


これは、私と妹に起きた出来事を、記録として残すための話です。



 

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