第6話*Once, in a certain place.

「今から流す映像ですが、一部加工して音声を消した部分がございます」

「何故だね。これは完璧な記録だと聞いていたが?」

「慎重に検討いたしましたところ、生の声ではなく録音された声であっても、影響があると確認されましたので」

「まさか、実験したのですか?」

「お答えするのは差し控えさせていただきます」

「しかしここにC因子持ちはいないだろう」

「Nであれば全く影響がないと断言できるだけのデータがございません」

「ふん。まあ、よかろう」

「では改めまして。今からお見せする映像には、ショッキングな場面が含まれます。苦手だと思われる方は、開始後四分三八秒あたりからご覧いただかないよう、お願いいたします」

「画面上に、経過時間の表示はあるのかい?」

「いえ、ございません。当該部分の一〇秒前に、こちらから口頭でお知らせいたします。ただし、当該部分の音声は流れます。ご了承ください」

「わかったよ。始めてくれ」


ノイズ。

原版は、デジタルではなくアナログで撮影されたフィルムだろうか。

画面のブレと白飛びが次第におさまってくる。

かなり古そうなざらついた画像の中で、拘束衣を着せられた人物が顔を上げる。

――やあ、君もハウンドかい? はじめまして。僕は――

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