第十六回:魔女の逆襲、狂乱の毒薬

街灯が点滅する夜道。三人の彼女たちとの「お仕置き」を終え、疲弊しきった俺の前に、黒井先生が立ちはだかった。


彼女の白衣は乱れ、瞳には今まで見たこともないような、どす黒い情念が渦巻いている。


「……先生、どうしてここに。もう、俺には構わないでくれって……」


「ふふ、冷たいわね、佐藤くん。あの子たちにそんなにたっぷり『お仕置き』をされたの?」


黒井先生はふらりと歩み寄り、俺の胸元に手を置いた。その指先は氷のように冷たく、そして激しく震えている。


「あの日、保健室で邪魔が入らなければ……私たちは最後まで終わらせていたはずでしょう? あなたの初めてを、私にくれるはずだったじゃない」


「それは……あの時は、先生に脅されて……」


「いいえ、あなたは求めていたわ。私という『大人の毒』を」


先生はポケットから、怪しく光る液体の入った注射器を取り出した。


「来るのが遅すぎたわね、佐藤くん。あの子たちに支配される毎日なんて、私が終わらせてあげる。さあ……私の家に来なさい。あの日、中断された『行為』を、今夜こそ最後まで完成させるのよ」


「……っ、何を言ってるんだ! 離してくれ!」


俺が逃げようとした瞬間、先生の力が異常なほど強く俺の腕を掴んだ。


「逃がさないわ。私の体を、あなたの細胞に直接刻み込んであげる。そうすれば、あの子たちがいくらキスをしても、抱きしめても、あなたの体は私のもの。私の毒なしでは生きていけなくなるのよ……!」


先生は狂気的な微笑を浮かべ、俺を強引に闇の中へと引きずり込もうとする。その先にあるのは、彼女の自宅という名の、出口のない「実験室」だ。


その時、俺のポケットの中で、三台のスマホが同時に、悲鳴のような爆音で鳴り響いた。


『――翔太くんのGPSが、禁止区域に移動しているわ。』 『――穢れの気配。あの女……死を望んでいるようですね。』 『――あはは! 先生、またお掃除されたいんだぁ。今度はバラバラにしてあげますね!』


闇の向こうから、三つの殺気が凄まじい速度で近づいてくる。


「さあ、急ぎましょう佐藤くん。あの子たちが来る前に、私だけのものになって……!」

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