第十四回:血の継承(ブラッド・ヘリテージ)
地下室に充満する、三人の熱い吐息と冷徹な殺気。 翔太は、目の前に迫る三つの白い肌と、背後の冷たい水池の間で、最後の大博打に出た。
「……わかった、俺が悪かった! お願いだ、許してくれ!」
翔太は喉を枯らして叫ぶ。その声に、桜(さくら)、美雪(みゆき)、**白鳥(しらとり)**の動きが止まる。
「俺は、保健室の黒井先生とはもう縁を切る! 彼女のことは諦めるから、どうか信じてほしい! ……それに、子作りのことだけど、俺はまだ学生だし、こんなに若いうちに父親になる心の準備ができていないんだ。今は、ただ君たちと一緒にいたいんだ!」
沈黙が地下室を包み込む。やがて、桜がクスクスと、壊れた機械のような低い笑い声を漏らした。
「ふふ……あははは! いいわ、翔太くん。やっと本音を言ったわね」 桜が鋏を仕舞い、冷たい手で翔太の頬を包み込む。「あの毒婦を捨てて、私たちの元へ戻ってくるというのなら……今ここで殺すのはやめてあげる」
「いい決断です、翔太。不浄な誘惑を断ち切り、私たちとの純愛に向き合うのですね」 美雪が数珠を解き、慈しむような、それでいてどこか恐ろしい手つきで翔太の頭を撫でる。
「あはは! 先輩、やっとわかってくれたんだ! でも……」 白鳥がカッターの刃をチャキリと引っ込め、翔太の首筋に顔を埋めた。「ただ口で言うだけじゃ、私たちの気が済まないんですよ?」
三人の視線が混ざり合い、新しい「ルール」がその場で確定していく。
「これから毎日、あなたに『お仕置き』を与えるわ」 桜が翔太の唇を指でなぞる。「放課後、必ず私たちのところへ来なさい。そして、一人ずつ順番に……心を込めてキスをして、きつく抱きしめること。それがあなたの義務よ」
「もし一日でもそれを怠ったり、他の誰かに鼻の下を伸ばしたりしたら……」 美雪が、隠し持っていた短刀をゆっくりと翔太の視界に入れる。 「その時は、この刃があなたの体を深く刺すことになるわ。死なない程度に、私の痛みを刻み込んであげる」
「楽しみですね、先輩!」 白鳥が翔太の膝の上で、恍惚とした表情で囁く。「毎日、私をいっぱい抱っこして、愛してるって体で教えてくださいね。……ね?」
『血の継承』。それは、新しい命を宿すことではなく、毎日彼女たちの「愛という名の呪い」を注入され、逃げ場を失っていくという飼育の儀式だった。
地下室の重い扉が開く。 そこから続く階段の先には、自由など一秒も存在しない、甘く残酷な「監禁に近い日常」が待っていた。
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