第十三回:肉体の審判(ボディ・オア・ダイ)

「三人とも好き……誰一人として選べない……?」


俺、佐藤翔太の絞り出すような回答に、地下室の空気が一変した。 怒りで切り刻まれるか、あるいは水池に突き落とされるか。死を覚悟した俺に、**桜(さくら)**が冷たい、それでいて恍惚とした笑みを向けた。


「ふふ、いいわ。その欲張りなところ、いかにも翔太くんらしいわね。でも……」


桜がゆっくりと自分の制服のボタンに手をかけた。続いて**美雪(みゆき)**が巫女服の帯を解き、**白鳥(しらとり)**も迷いなくブラウスを脱ぎ捨てる。


「言葉だけで納得できるほど、私たちは甘くないわよ?」


電球の光の下、彼女たちは制服を脱ぎ去り、薄いキャミソール一枚の姿になった。あらわになった白い肌と、それぞれの個性が強調された肢体が、至近距離で俺を圧倒する。


「さあ、翔太くん。よく見て答えなさい」 桜がモデルのような曲線美を俺の眼前にさらし、顎を持ち上げる。「私たちのなかで、誰の体が一番魅力的? ……嘘をついたら、その瞬間にあなたの指を一本ずつ切り落としていくわよ」


「翔太、私の体を見て。神に捧げるために磨き上げた、不浄な一点もない体です」 美雪が俺の頭を自分の腹部へと引き寄せ、熱い吐息を耳元に吹きかける。「誰の体が一番、あなたを癒やせると思う? 正解を言わなければ、今すぐ背後の池で永遠に眠ってもらいます」


「先輩……」 白鳥が俺の膝の上にまたがり、震える指先で俺の胸元をなぞる。「体だけじゃ、物足りないですよね? 先輩は、誰と『赤ちゃん』を作りたいですか? 私のなかに、先輩のすべてを注ぎ込んでほしい……そうですよね?」


「生む(うむ)」という言葉が、地下室に生々しく、重く響き渡る。 彼女たちの瞳は、もはや恋する乙女ではなく、獲物を食い尽くそうとする「メス」の輝きを放っていた。


「誰の体を求め、誰との子供を望むのか。今ここで、たった一人を指名しなさい」 桜が鋏の先を俺の股間に向け、残酷な笑みを浮かべる。 「選ばれなかった残りの二人は……そうね、ここであなたの『処刑』を喜んで手伝ってくれるはずよ」


三人の美しい肌と、その裏に隠されたどす黒い殺意。 そして背後に迫る冷たい水音。


俺は、限界まで熱くなった脳で、この場を凌ぐための「狂気の契約」を口にするしかなかった。

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