第十二回:四つ巴の地下監禁(クアッド・ロックアウト)
意識を失っていた俺、佐藤翔太が目を覚ました時、そこは保健室の面影すらない、冷たく湿った地下室だった。
天井から吊るされた裸電球が、不気味に揺れている。俺の体は椅子に固く縛り付けられ、目の前には桜(さくら)、美雪(みゆき)、白鳥(しらとり)、そして黒井先生の四人が、冷徹な視線を向けて並んでいた。
「さあ、翔太くん。ようやく起きたわね」 桜が冷たい指先で俺の顎を無理やり持ち上げる。 「さっさと答えなさい。この四人の中で、あなたが一番愛している彼女は誰なの?」
「嘘をついたらどうなるか、分かっているわよね?」 美雪が俺の背後に回り込み、耳元で氷のような声を出した。「あなたのすぐ後ろには、底の見えない深い水池(みずいけ)があるわ。もしあなたが嘘をつくなら……そのまま突き落として、冷たい水の中で永遠に『お清め』してもらうことになるわよ」
「先輩、心臓の音でバレちゃいますからね?」 白鳥がカッターナイフの刃を俺の胸元、心臓のちょうど真上にそっと押し当てた。 「おかしな答えを言ったら、そのままこの刃が先輩の心臓に突き刺さります。ねえ、一番はだれ? 早く言って?」
四人の女たちの独占欲が、逃げ場のない密室で渦巻いている。 正面には鋭い刃、背後には逃げられない水池。
「佐藤くん、早く決めて。私との『大人の約束』を優先するのか、それともこの子たちの誰かを選ぶのか……」 黒井先生が妖しく微笑みながら、俺を誘惑するように覗き込む。
誰か一人の名前を呼べば、他の三人の殺意が爆発する。 だが、答えなければ今この瞬間に、俺の命は水底か、あるいは刃の先で果てることになる。
「俺が……俺が、一番好きなのは……」
死の恐怖に震えながら、俺は四人の狂気を真っ向から受け止める、最悪の賭けに出るしかなかった。
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