第2話

朝食を食べた僕たちは、近くの森に向かうことにした。


世界各地には冒険者ギルドが存在し、冒険者はギルドを通して様々なクエストを受けることができる。


当然僕たちも昨日パーティを組んで、今日が本格的な依頼を受ける日だった。

彼女たち3人の推奨で、森の中にいるゴブリン討伐を受けることになった。


本日最初の敵は、森道に出る低級魔物とされる、狼だった。


数も多くない。昨日の感じなら僕が前に出て行けばいいはずだ。


「よし、僕が……」


と、言い終わる前に、金色の影が視界を横切った。


踏み込み、回し蹴り。


乾いた音と同時に、魔物の首がありえない角度で折れる。


「……は?」


っと、声が出た時には、二体目が沈んでいた。


さらに、銀髪の少女が唱えたのは、祈りというより確認作業のようだった。短い言葉、そして光。

狼達の動きが止まる。


その瞬間を、黒髪の少女は逃さない。


詠唱はない。

持っている杖を振ることもない。

というか、昨日まで持っていたはずの杖を持っていなかった。


指先が向けられた次の瞬間、

狼の心臓だけが、内側から焼き切れた。


残り一体。


僕が剣を構え直すより早く、

金髪の少女が距離を詰め、肘を打ち込んだ。


終わり。


「……」


静かすぎて、血も、魔物の叫びも、余韻もない。


「ちょっと待って……今の、打ち合わせとか……した?」


思わず聞くと、三人は同時に首を振った。


「必要ないから」


「いつも、こうだった」


「……そう」


返答が、噛み合っていない。

僕は剣を下ろした。


「僕が気づいた時には終わってるんだけどぉ……」


僕の三人は一瞬、固まった。


次の瞬間ほっとした表情、心の底から安堵した顔をしていた。


(……なんだそれ)


まるで……僕が前に出ないこと自体が成功しているみたいじゃないか。


戦闘は、とても楽だった。だけどその楽さは信頼じゃなく、排除に近い。


彼女たちは、僕を守っている。仲間としてじゃない。


失ってはいけないものとして。

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