防衛開始/配信開始/3

〉 見た?

〉 AIだろ

〉 音なしだし画質最悪だしわかりやすすぎ

〉 いやあれはガチでしょ

〉 ゴスロリ美少女が存在する世界線のやつがいますね

〉 いや美少女は存在するだろ するよな?

〉 あの光エフェクトなに?

〉 そもそも〈化物〉って配信していいんだっけ? なんかセンシティブ判定されるとか噂なかった?

〉 それ一部の生成AIの制限な

〉 ほなやっぱりディープフェイクちゃうか

〉 正直、ネタにしていい物じゃない気がする

〉 アーカイブほとんど残ってないけど、配信してたやつ男だし

〉 クソつまらんゲーム配信しかしてないのにいきなりあれはねーわ

〉 ゲームしてたら取り残されたとかだったりして

〉 逃げるだろwwwwwwww

〉 とりあえずかわいい

〉 お前ああいうのが好きなの?      かわいいよね

〉 シルバーじゃら付けゴスロリとかさあwwwwww 俺も好き

〉 〈化物〉殺せる系美少女かぁ…………いいですね

〉 でもフェイクか中身男かの二択だぞ

〉 ありやろ

〉 どっちが?




 夜の間は、配信画面を見ている余裕はなかった。

 〈化物〉を見逃してはまずいと、監視カメラの映像を必死に見ていたからだ。朝日が昇るころ、いつの間にか時間オーバーで終了していた画面を見て、意識を失いかけた。

 視聴数、621人。

 同接平均1人、最高記録4人の配信者としては、偉業とも言える数値だった。


「……いや、まあ。俺の手柄じゃ、ないけど」


 一晩の間駆け回って建物と俺の命を守ってくれた少女は、今、穏やかに寝息を立てている。薄っぺらい布団しかないのが申し訳ないのだが、そんなことは気にならないようでぐっすり眠っている様子だ。

 〈化物〉は夜の方が活発らしい。Wikipediaには書いていなかったが、ベアトリーチェははっきりとそう言った。眠るよう言われたが、頼み込んでまずベアトリーチェに休んでもらったのだ。彼女の体力が最優先だし、何よりも俺の何倍も頑張ってくれたから。

 興奮と緊張で眠れる気がしなかったというのもある。

 襲われれば死ぬしかない〈化物〉。

 その〈化物〉を易々と嚙み砕く少女。

 まだ、現実を呑み込めていなかった。


「夢だけど……夢じゃなかった……」


 名作の台詞を拝借しつつ、インスタントコーヒーを飲んでパソコンに向かう。監視カメラの画面を半分の大きさにして、情報収集を始めた。

 〈化物〉について調べるうち、SNSで騒がれている動画が目に入った。深夜の駐車場――〈化物〉を倒すベアトリーチェの姿の切り抜き。


「……ば、バズってる」


 生成AIによるディープフェイクだとする声が多いことに、少し安心する。直接話した俺ですらまだ呑み込めてないのだから、それが正常な反応だろう。

 今夜も配信するかな、という反応も多かった。ベアトリーチェの昨夜の様子を思い出す。


『わらわの活躍を! ……あとそなたの智勇も、多くの者に伝えられるということか。なんと素晴らしい技術であろうか。うむ、ならばその配信とやら、しない理由がない。そうだな?』

『いや……でも……』

『するのであろうな?』

『いや………………その……………………』


 きらきらした赤い瞳と、むくれていく頬、どっちに負けたかは秘密にしておく。

 ともあれあの様子だと、今夜も配信をしたがるだろう。


「…………まあ、いいか……」


 身バレとか怖いけど。

 変な話題にならないといいけど。

 彼女が喜ぶなら、それが一番重要だった。

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