第四話


神藤さんは、僕の隣に腰を下ろした。

講義室の椅子がきしむ音と同時に、春の光が窓から差し込み、彼の髪を淡く照らす。

光を受けてきらめく黒髪――いや、青を含んだ黒。その柔らかさに、思わず目を奪われた。


――こうして見ると、やっぱり絵になる人だな。



「T大の講義を受けられるなんて、得した気分だな」



無邪気に笑う声が響く。

その声に、周囲の女子学生たちがこっそりと視線を寄せる。

まるで空気が彼を中心に回っているようだった。


彼は悪気なく人を惹きつける。

笑うだけで場の温度が変わる、不思議な人だ。


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