第41話
リリアを安全に確保した魔王は、骨たちと共に王宮へと向かった。
城の扉を踏み破るたび、兵士たちは膝をつき、王や母親の顔色は蒼白に変わる。
「……なぜ、リリアをさらった?」
低く響く声に、王宮中の空気が凍りついた。
魔王の背後には、骨たちが静かに控え、少女を守る姿があった。
王は必死に取り繕おうとする。
「お、お言葉ですが……この子がいなければ経済が……」
母親も震えながら言葉を重ねる。
「リリア様がいないと、国の生活は回らないのです!どうかお許しを……!」
しかしその言葉は、魔王に届く前に、彼の威圧の前でただの哀れな声に変わる。
赤黒い瞳が親たちを射抜き、宮殿の壁までが微かに震えた。
「……ふん……」
魔王は低く鼻を鳴らす。怒りは収まらない。
「……よくも、我が子を辱めたな……」
その言葉だけで、王も母親も、声を失い、震え続けるしかなかった。
骨たちも傍らで小さく身を震わせる。
それは、魔王の怒りがどれほど深いかを、全員に知らしめる瞬間だった。
母親は魔王の圧倒的な威圧に屈しながらも、かすかな希望を抱く。
「……あなた……美しい……」
色仕掛けを試みるが、魔王は微動だにせず、冷たい視線を返すだけ。
母親の顔から血の気が引き、王も同様に惨めさで震える。
「……無駄だ」
魔王の声は低く、赤黒い瞳が全てを見透かしていた。
王国の慢心も権威も、リリアの力と魔王の怒りの前では無力だった。
骨たちはリリアを抱き、少女も魔王の腕の中で安心した表情を見せる。
「お父様とみんながいるから……もう怖くない」
その言葉に、魔王の怒りは一瞬だけ柔らかくなる。
だが王国の親たちの惨めさは、魔王の怒りの力で刻み込まれ、消えることはなかった。
国を出る魔王の背中に、王国の未来は既に壊滅への道を辿るしかなく――
後に、王国が経済的に回らず滅んでしまったことを知るのは、少し後の話であった。
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