第38話

 骨たちは瞬時に状況を察知した。


「リリアが……さらわれた……!」


 鎧を着た骨たちは声も出さずに走り出す。

 魔力封印で無力になった少女を、放っておくわけにはいかない。


 だが、洞窟は遠く、奥深く、普通の者では辿り着けない場所。


 骨たちにとっても、そこまで到達するには2年もの歳月が必要だった。


 リリアは運命に抗えず、王国側に従わざるを得ない。


 日々の労働、精神的屈辱、そして心を折るような指示――


 魔力が封じられ、抵抗できない今、唯一できるのは生き延びることだけだった。

 小さな体は疲労で重く、心も押しつぶされそうだった。


 骨たちは長く続く探索の末、洞窟へとたどり着く兆しを見せる。

「……あの子を……助けなければ……」


 骨たちは決意を胸に、ゆっくりと奥深くへ進む。

 リリアはまだ知らない。


 ただ、日々の屈辱と疲労に耐えるしかない。


 それでも、心の奥の光だけは消えていなかった。

「……負けない……私は……絶対に……」

 希望はまだ、消えてはいない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る