第37話


 王国側の計画は完璧に思えたが、長く続く労働や屈辱、監視の限界により、少しずつほころびが出ていた。


 書類の誤管理、命令の伝達ミス、兵士たちの小さな怠慢――


 それは些細なことだが、リリアを利用する計画に影響を与え始める。

「……このままじゃ……」


 心の奥で小さな予感が走るが、魔力を封じられた今、どうすることもできない。


 一方、魔王城では骨たちが遠くから情報を集めていた。

「……あの子、王国で……何か変だ」


 鎧を着た骨のひとりが、リリアの状況に異変を感じる。


「無理に捕らえ続けていると、思わぬことになるかもしれない」

 静かに、だが確実に、城からの目は王国へ向かい始めた。


 リリアはまだ知らない。


 しかし、王国側の小さな失敗の積み重ねが、やがて彼女を救うきっかけになることを。


 夜、薄暗い牢で横たわりながら、リリアは小さくつぶやく。

「……負けない……私は……絶対に……」


 小さな体は疲れ果て、心も押しつぶされそうだが、心の奥の光だけはまだ消えていなかった。


 そして、遠くで骨たちが動き始める――ざまぁの瞬間は、少しずつ近づいていた。

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