第34話
王国の城内、薄暗い通路の奥に、リリアだけが運ばれる場所があった。
そこは他の者には与えられない、特別な仕事のための部屋。
「……ここは……?」
小さな手で壁を触れながら、リリアは不安な声を漏らす。
魔力封印装置が手足を縛り、光も魔法も使えない。
ただ、冷たい床と鉄格子だけが目に映る。
王国側の計画者は低い声で命令を下す。
「お前にしかできない仕事だ。無駄な力は不要、使えるのは知恵と我慢だけだ」
その言葉は、少女の心を深くえぐる。
リリアはまだ小さい体で、重い箱や繊細な機械を扱わされる。
しかし、彼女の力や敏捷さが優れているため、失敗は許されない。
少しでも間違えば、強い叱責や屈辱が待つ。
昼も夜も、休みはほとんどない。
過酷な労働に加え、王国側はリリアの精神を削るように命令する。
「もっと速く! お前の速度では間に合わぬ!」
小さな体は疲労で震えるが、光を使えないため逃げることもできない。
それでも心の奥には、5歳の頃の天真爛漫で無垢な記憶が、かすかな光として残っている。
光を跳ねさせて笑っていたあの日々――お父様やみんなと過ごした穏やかな時間――それだけが、耐える理由だった。
ある日、特別な仕事の指示が下る。
それは、王国の生活維持や権力維持のために、リリアの体力と知恵を極限まで使わせる作業だった。
他の者では到底扱えない計算や細工、絶対に失敗できない作業――それが、無力な少女に課せられる。
小さな肩で重荷を抱え、汗と涙でびしょ濡れになりながら、リリアは必死でこなす。
「……お父様、みんな……」
時折、涙をこらえながら呟く声が、冷たい部屋に響いた。
光も魔法も使えない無力な自分――しかし、心の奥の小さな光だけは、まだ消えていなかった。
夜、薄暗い部屋で横たわりながら、リリアは自分を奮い立たせる。
「……ここで負けたら、終わり……」
小さな体は痛みと疲労で限界に近い。
だが、彼女にしかできない仕事をやり抜くことで、少女は僅かな誇りを取り戻す。
そして、いつかお父様とみんなに会える日を夢見ながら、今日も耐え続けるのであった。
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