第31話
数日後、影の忍び寄る夜。
中庭ではリリアが光の球を操りながら、少し遊び気分で跳ねさせていた。
「わーい、今日はいっぱい跳ねた!」
骨たちは支えながらも、軽く笑い声を上げる。
その時、影が城門を抜け、中庭に忍び寄った。
「お嬢様、警戒を――!」
骨の声が響くが、リリアは振り返ってにっこり笑った。
「えへへ、なに?」
その瞬間、王国の兵士たちは素早く魔力封印装置を装着し、リリアの手足を縛る。
光を操れない彼女は、初めて自分が無力であることを理解する。
「……う、うごけない……?」
涙が頬を伝うが、骨たちは装置を破れず、ただ見守るしかできない。
兵士たちは彼女を担ぎ、夜の森を抜けて王都へ運ぶ。
その間、リリアの小さな心は、5歳の頃の無垢で無邪気な感覚を思い出していた。
魔王に守られて笑った日々、骨たちに囲まれた日常――
それがどれほど尊く、幸せだったかを痛感する。
そして今、その全てが自分の手の届かないところにあることを、幼い心で理解する。
王国では、リリアの力を搾取して生活や権力維持に利用する計画が着々と進められていた。
光も魔法も封じられた彼女は、命令に従い、体を酷使され、精神的にも圧迫される日々を強いられる。
5歳の頃の無邪気さは胸の奥に残っているが、外の世界は彼女を容赦なく追い込んでいた。
そして、魔王が3年に一度の検査で洞窟奥深くにいるため、城には長時間不在。
その間、王国側の計画は静かに、しかし確実に進行していった。
リリアは夜、暗い牢の中で小さな声でつぶやく。
「……お父様、みんな……」
誰もいない部屋で、小さな声だけが虚しく響いた。
光も魔法も使えない、無力な自分。
それでも、心の奥には5歳の頃の感覚が消えず、微かな希望となって残っていた。
しかし、その希望を打ち砕こうとする王国の計画は、まだ始まったばかりだった。
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