第30話
王都の大広間は、緊張で張りつめていた。
「……あの少女の力を利用すれば、王国の戦力は飛躍する」
王は書類を握りしめ、険しい表情で家臣たちを見渡す。
老臣も震える声で報告する。
「無能判定とされながらも、城の外ではその力を恐れられております。実戦試験でも、既に城門付近の防衛を容易に破壊している模様です」
王はうなずき、冷たい声で決意を告げた。
「……ならば、連れ出して利用するしかない。王国の力として、この少女を我らのものにするのだ」
若い家臣は息をのみ、しかし確信めいた声で続ける。
「討伐ではなく、さらう作戦に切り替えるのです。城の防御を突破すれば、魔力を封じた上で我々の計画に従わせることも可能です」
王は鋭い目を細めた。
「愚か者が放置すれば、この城の平和は長く続かぬ。しかし利用すれば我らの力となる。慎重に、確実に行え」
森の向こうでは、兵士たちが息を潜め、城を監視していた。
誰も、この少女が城内でどれほどの力を持っているか、正確には理解していなかった。
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