第29話
朝日が魔王城の塔の窓から差し込む。
リリアは静かに魔法陣の前に座り、指先で光の粒を操っていた。
以前より集中力がつき、遊び半分ではなく、魔法の挙動を確かめながら操作している。
「ふむ……この光はもう少しゆっくり反応させられるかな……」
彼女の小さな唇が、真剣に動く。
骨たちは今日も「お嬢様」と呼びながら、周囲で魔法陣や道具を支えている。
「お嬢様……魔法陣の精度が安定してきました」
カタカタと笑う声が塔内に響く。
リリアは微笑みつつも、光の粒を少しずつ増やして、複数同時に操作する訓練を始めた。
塔の隅で、魔王は腕を組みながら静かに見守る。
「……無邪気さはまだ残っているが、明らかに成長している」
リリアの手元で光の粒が跳ね、小石に触れた瞬間、微かに跳ね返る。
骨たちは慌てて押さえながらも、どこか楽しげだ。
「お嬢様……加減は……!」
「でも楽しそう……!」
リリアは光の粒を組み合わせ、ゆっくり宙に模様を描いてみる。
「なるほど……こうすれば空中で安定するんだ」
小さな声でつぶやきながら、試行錯誤する様子は、以前の天真爛漫な遊びとは違う。
しかし、集中しつつも時折笑ってしまう無邪気さは、まだ完全には消えていない。
魔王は微かに眉をひそめつつも、赤黒い瞳を細める。
「……この成長速度、予想以上だな」
彼女がまだ小さくても、無自覚で規格外の力を扱えることを改めて実感する。
守らねばという思いが、少しずつだが確実に芽生えていた。
午後になると、リリアは魔法陣の上で光の粒を浮かべ、いくつかの試験操作を終える。
「よし、今日はここまでかな!」
疲れた表情を見せつつも、満足そうに笑う。
骨たちはカタカタと笑いながら、魔法陣や道具を片付ける。
「お嬢様……本当に、油断ならぬお方です」
「さすがです!」
塔の外では、王国が再びざわつき始めている。
リリアの笑顔を見守る魔王の赤黒い瞳には、困り眉と微かな微笑みが同時に浮かんでいる。
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