第27話
王都の大広間。
重厚な木の扉の向こうには、緊張した家臣たちが集まっていた。
「……あの子がまだ生きているとは、信じられぬ」
老臣の声に、周囲の騎士たちが顔を見合わせる。
「父上、魔王城の存在が現実味を帯びております」
王は書類を握りしめ、眉を深くひそめる。
「無能判定……あの“少女”のことだな」
王の声には苛立ちが混ざる。
「しかし、勇者からの報告では、城内の圧が尋常ではないとのこと」
若い家臣が震えながら報告した。
「……子ども一人で、この城を支配していると?」
王は小さくため息をつき、書類をテーブルに叩きつける。
「……我が王国は、完全に脅威に晒されている」
騎士団長が口を開く。
「討伐の準備を進めるべきです、父上」
「勇者を差し向けるしかないな……」
王は静かにうなずき、指示を出す。
「ただし、相手は子どもとはいえ、尋常ならざる魔力を持っている。慎重に動け」
家臣たちは緊張の色を濃くし、討伐計画を再確認する。
遠くの領地でも、情報網は魔王城周辺の異常を記録していた。
「……城の壁や空気の振動からして、尋常ではない」
「魔王に匹敵する力か、それ以上かもしれません」
家臣の間で、戦々恐々とした空気が流れる。
しかし、王は冷静さを保ち、目に光を宿した。
「……油断してはならぬ。あの少女を侮るな」
その時、勇者が討伐依頼を受け、出発の準備を進めていた。
鎧を磨き、武器を確認し、心を奮い立たせる。
「……これが、あの城にいるという少女か」
勇者の瞳には、少しの恐怖と、使命感が入り混じる。
王国側の焦りと緊張。
しかし、まだ誰も知らない。
少女の無邪気な笑顔と、ありえないほどの力が王国をどう揺るがすかを。
王は椅子にもたれ、深いため息をつく。
「……規格外の力を前に、我々はどう動くべきか」
騎士たちは視線を落とすしかなく、王都の大広間には静かな緊張が漂った。
王国の運命――
それは、まだ少女が何も知らない日常の裏で、静かに傾き始めていた。
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