第24話
朝の魔王城。
中庭では、リリアが紙の弟を宙に浮かべ、無邪気に遊んでいた。
「わーい、もっと飛べー!」
8歳になったリリアは、以前より少し落ち着いた口調だが、表情の輝きは変わらない。
骨たちは必死に紙をキャッチしながら、カタカタと笑う。
「お嬢様……今日も城中が遊園地状態です!」
「でも楽しそう……!」
魔王は遠くから、赤黒い瞳でリリアを見守る。
「……油断ならん」
その時、城門の方で微かな気配がした。
「……来たか」
魔王は静かに腕を組み、骨たちをちらりと見た。
「……勇者か」
骨たちは慌てて整列する。
「お嬢様、外界の者です」
「でも楽しそう……」
リリアは紙の弟をさらに飛ばす。
「わーい、もっともっと!」
その瞬間、紙や小石に微かに魔力が混ざり、城の外壁に触れるとわずかに震動が走る。
骨たちはカタカタと声を上げ、慌てて飛び回る。
「お嬢様……制御不能です!」
「でも楽しそう……!」
魔王は眉をひそめ、赤黒い瞳を光らせる。
「……やはり規格外だ」
城門から勇者が到着した。
鎧を身にまとった青年は、少し緊張しながらも、堂々と城を見上げる。
「ここが……魔王城……」
しかし、城の壁に触れた紙や小石の微振動を感じ、彼は一瞬眉をひそめる。
「……何だ、この圧は……?」
城の中から笑い声が聞こえ、光がちらつく。
「……子ども?」
勇者は戸惑いながらも、武器を握る手に力を込める。
リリアは、無邪気に魔力を混ぜた遊びを続ける。
「わーい、紙の弟、もっと飛んでー!」
骨たちは必死に制御しようとするが、結界の中でも暴走気味だ。
「お嬢様……少し加減を!」
「でも楽しそう……!」
魔王は深いため息をつき、指先で結界を微調整する。
「……勇者よ、これが規格外の力だ」
城の外に、微かに圧が伝わる。
勇者は目を見開く。
「……一体、この子にどれだけの力が……!」
しかし、リリアはまだ何も知らず、笑顔で紙や小石を操る。
「ふふーん、もっと飛ばそーっと!」
骨たちは、カタカタと笑いながらも必死で守る。
魔王は困り眉で、赤黒い瞳を光らせたまま指先を動かす。
「……これでもまだ序の口だ」
城の中では、無邪気で天真爛漫なリリアの遊びが、外界の勇者に圧を与える。
それを見た骨たちは、カタカタ笑いつつも、今日も平和を守るために動く。
魔王は、困り顔ながらも、どこか楽しげにリリアを見つめる。
そして、城外の勇者は、まだ子どもであるリリアの存在に、震えるほどの圧を感じていた。
これが、王国をも震撼させる力の始まりだった。
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