第22話
朝の王国。
城の大広間では、騎士や家臣たちが慌ただしく集まっていた。
「……あの女の子、まだ生きていたのか?」
「父上、王国に危険が迫っています」
王は眉をひそめ、書類に視線を落とす。
「無能判定などされたものの、どうやら……」
侍女が恐る恐る報告した。
「近隣の領地で、魔王城の存在が現実に確認されました」
王国の情報網は、かつて「無才能」と判断された少女――リリア――が育った城のことを掘り起こしていた。
騎士たちは顔を見合わせ、動揺を隠せない。
「……これはまずい」
「討伐を……勇者に依頼すべきでは?」
王は渋い顔でうなずいた。
「よし、勇者に討伐を命じろ」
「かしこまりました!」
一方、魔王城。
リリアは今日も無邪気に遊んでいた。
紙の弟を宙に浮かべ、小石をふわりと浮かせる。
骨たちはカタカタと笑いながらも、少し緊張した視線を魔王に送る。
「……お嬢様、外界の様子が少し……」
「でも楽しそうです!」
魔王は赤黒い瞳で遠くを見つめる。
「……そろそろ、あの連中が動くかもしれん」
その時、紙を跳ねさせながらリリアは無邪気に叫ぶ。
「わーい、もっと飛べー!」
骨たちはあわてて飛び回る。
「お嬢様、あぶないです!」
「でも楽しそう……!」
魔王は眉間に皺を寄せながらも、ふと微かに笑う。
「……本当に、この子の力は規格外だ」
遠くの王国では、勇者が討伐依頼を受け、準備を進めていた。
王国側の焦りと、リリアの無邪気さ、魔王城の圧倒的防御力――
すべてが、交わる瞬間を静かに待っている。
そして、リリアはまだ何も知らず、今日も紙の弟と遊び、光や小石を宙に浮かべて笑っていた。
骨たちは必死でキャッチしながら、カタカタと笑う。
魔王は微妙に困った顔で、今日も城の平和を守る。
しかし、世界は静かにざわめき始めていた。
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