第15話
「ねえ、ねえ! ここって、どこまであるの?」
リリアは、ベッドから飛び出すと同時に走り出した。
まだ身長は低いけれど、好奇心だけは誰にも負けない。
骨たちは、慌てて追いかける。
「お嬢様、走らないで!」
「転びます!」
「壁に激突します!」
魔王は、少し離れた場所で腕を組む。
「……好きにさせておけ」
ただし、視線は外さない。
中庭から大広間へ。
大広間から書庫へ。
階段を上り、廊下を曲がる。
リリアは、次々と部屋を覗き込む。
「わぁ、ここは何する部屋?」
「こっちは、ちょっと暗いね」
「わ、あれは……骨?」
視界の隅に、ひょこっと顔を出す骨に気づくたび、にっこり笑う。
骨たちは、それぞれ自己紹介を始めた。
「私は掃除係のカタカタです」
「食事担当のパリパリです」
「番人のゴツゴツです」
リリアは、すぐに名前を覚える。
「じゃあ、カタカタはかくれんぼ上手ね!」
「パリパリはパン作るの上手!」
「ゴツゴツは、力持ちだ!」
骨たちは、びっくりしながらも嬉しそうにカタカタ笑う。
「……覚えられましたか?」
「はい! 全員把握しました!」
「小さな脳が、破裂しそうです」
魔王は、少しだけ顔をしかめる。
「……名前まで付けるとは」
リリアは、無邪気に肩をすくめる。
「だって、呼びやすい方が仲良くなれるでしょ?」
廊下を曲がると、魔王の書斎が見えてきた。
巨大な机。積まれた書類。壁一面の本棚。
「わぁー!」
リリアは目を輝かせる。
「ここ、なにして遊ぶの?」
魔王は、腕を組んで立ったまま、静かに見守る。
「……静かにしろ」
声は低くても、どこか困惑が滲む。
リリアは、にこっと笑って返事する。
「分かった、じゃあ小声で遊ぶね!」
骨たちは、カタカタ笑いながらついていく。
書斎の中で、リリアは思いつくままに物を触る。
本を開く。巻物をくるくる回す。
紙吹雪が舞い、骨たちは必死に追いかける。
「静かに!」
「資料が……!」
「でも、楽しそうです!」
リリアは、手を止めない。
「ふふ、あそぶの大好き!」
魔王は、眉間にしわを寄せながら、心の中で呟いた。
「……どうしてこんなに元気なんだ」
リリアは知らない。
自分の笑顔が、
この城の空気を、少しずつ柔らかくしていることを。
骨たちも、少しずつ緊張を解き。
カタカタ笑いながら、リリアの後を追う。
魔王城の探検は。
こうして、
笑いと小さな混乱に包まれながら始まった。
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