第3話
「あ!白くて長い歯が伸び切ってますねぇ。これじゃあ食べれなくても仕方ありませんねぇ。」
ジュエルは、ふふと笑うと青年を見て言った。
「大丈夫ですよ。病気でも怪我でもありません。歯が長いせいで食べれないだけです。痛いのを我慢してカットすれば、また食べれられるようになりますよ。」
「本当ですか?この子は、病気じゃないんですか?良かった……」
安堵しきった笑顔を向けられて、ようやく目を合わせたジュエルは少し固まった。
「あっごめんなさい。この目、怖いですよね。生まれつき赤い目をしてるんですよ僕は。悪魔のようで……」
「綺麗です!」
「えっ?」
「まるで、ガーネットのようですね!キラキラしてて綺麗です。前髪で隠さないで、見てあげてください。今からリスさんは我慢して痛みに耐えることになりますから。応援してあげてくださいね。」
口は隠してるけど、ニコッと目を細めてジュエルは青年を見たから、きっと笑顔を向けたことは伝わったと思う。
青年も優しい眼差しを返してくれた。
久しぶりに人からそんな視線を向けられたジュエルは心が温かくなった。
あと……前髪を横に分けた青年があまりにも美しい顔立ちをしていたから、ドキドキして恥ずかしい気持ちにもなった。
ジュエルの母がダイヤモンドで作ったバーのようなものを使って、ジュエルはリスの歯を切った。
力なくぐったりしているリスが、その瞬間は目をギュッと瞑ったので、可哀想に感じたが、仕方ない。
「ごめんね。痛かったね。でももう、大丈夫だからね、これでたくさん食べられるからね」
ヨシヨシと撫でたあと、ジュエルは青年にリスを抱かせた。
「柔らかいものばかり食べていては、歯が伸びてきてしまいます。ナッツなど硬いものをたべさせて、普段から歯を摩耗させてください。そうすればこれから先は大丈夫ですよ。それでも伸びすぎたらまた私が切ってあげます」
「ありがとうございます!ああ……良かった」
青年はタオル越しに自分の顔にリスをくっつけた。
(お優しい男性だわ。こんな綺麗な顔をしていて、動物に優しいだなんて、きっと令嬢方が放っておかないわね。)
先ほど自分の目が赤く悪魔のようだと説明されたことを忘れて、ジュエルはそんなことを思った。
恐れられているから、女性が寄ってくるわけがないのに。
「あの、お礼の代金です。」
青年は金貨を何枚も渡してきた。ジュエルは目を輝かす。
「まあ、ありがとうございます!こんなに!これがあればお母様にたくさん薬を買ってあげられる!元気になるわ!」
「あの……」
青年が何かを言いかけた時,小屋がドンドンと叩かれて人の声がした。
「こちらにいるんですか?失礼ですがあがりますよ」
「待て!」
誰かからの声を青年は止めると、ジュエルに早口で捲し立てた。
「あの、僕はシルベスターです。次の祝賀パーティーでまたお礼は改めてさせてください。急ぐので失礼します。ジュエル姫様、ありがとうございました。」
そして足早に去っていった。
(今、私をジュエル姫と呼んだの?)
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