第4話 休日と突然
10月11日、慣れない時間のアラーム音で目を覚ました大成は、軽く目をこすりながら東のカーテンを開ける。すると部屋中に朝日が流れ込んだ。
階段を降り、洗面所に向かった大成はすっきりとしない顔を冷水で洗い流す。
「ふぅ」
キッチンに向かい、全自動コーヒーメーカーの電源を入れる。コーヒーは好きだが自分で
水とコーヒー豆を入れてスイッチオン。後は数分待つだけ、こんなにも簡単で美味しいコーヒーが飲めるなんて、この機械を発明した人は多分神みたいな人なんだろう。
コーヒーができるまでの間、大成はは大体朝ご飯を作る。冷蔵庫から食パンを取り出し、そこにいちごジャムを塗った。後は目玉焼きに少量のサラダ、これを二つ作った。
一つは後で食べるであろう杏のためにラップをして冷蔵庫に入れておこう。
できたコーヒーを少量口に含んで、それを流し込むことで少しずつ脳が冴えてくる。
ソファの上に転がっていたリモコンを拾い上げて、朝の情報番組にチャンネルを合わせると、駅前のメロンパンが紹介されていた。とても美味しいと評判のメロンパン。
特に意味はないが大成は、やけにそのメロンパンに興味を示した。
情報番組がスポーツのスクープに移ったところで、大成はポケットにしまってあったスマートフォンを取り出した。時刻は10時37分。約束の時間まではまだまだ時間があった。
「こんなに早く起きる必要はなかったのか?」
普段の土日は昼頃まで寝る大成だったが、今日は用事があったためいつもより少し早く起きた。
もう二度寝ができないほどに目が覚めて少し後悔していた大成に一件のメッセージが送信される。
『おはようございます大成先輩』
液晶画面に表示されたメッセージに大成は思わず口に含まれていたコーヒーを一気に飲み込み、続いてゴフっとむせてしまう。
「ゲホッケホッ、白井さん?」
咳が収まると、大成は挨拶を結月に返しておいた。
『おはよう。昨日は良く寝れたか?』
『はい!今日はバッチリおめめです!』
『いい
『これは私の勝手な予想なんですけど多分早く起きたはいいものの、することがなくて困っているところでは無いですか?』
予想を上手く的中された大成は、そんなはずないと思いながらも周りを見渡した。
「あ」
口にいちごジャムをつけパンを、もう片方にはスマホを持った杏が大成をチラチラ見ていた。
『どこでそんなことを聞いたのかは置いておいて、まあその通りだな』
『なら私とお昼ご飯、食べに行きませんか?』
突然すぎる誘い。大成は驚きを隠すことが出来ない。
『急だな、予定は空いてるから大丈夫だけど』
『良いんですか!インターチェンジの近くのお店のハンバーグが食べたくて』
最近移転したハンバーグ店。大成はマップを開いて、場所を把握した。
『11時半に現地集合でもいいか?』
今は10時45分。身支度や行きの時間も考慮するとこんなもんだろう
『おねがいします!』
結月からの了承を得た大成はひとまず話を切り上げた。
『また連絡する』
結月は可愛らしい猫のスタンプで大成のメッセージに返信する
ソファから立ち上がった大成は歯磨きをして、自室のクローゼットに眠っていた練習着に着替える。
10月にはほのかに冬の風が吹く。少しの懐かしさを感じながら去年まで着ていたウインドブレーカーに腕を通していく。
バッグにシューズ、タオル、水筒などを入れ後は貴重品。忘れ物はないだろう。
「それじゃあ杏。お兄ちゃん出かけてくるから留守番よろしくな」
杏はいつの間にか手にソフトクリームを持っていた。
「洗い物は私がやっとくから気にしないでいいからね」
杏はなぜか少し嬉しそうな顔をしている。ソフトクリームを持っているからなのだろうか。
「助かる」
「気を付けていってきなよー」
「あぁ」
そう言いながら大成はドアを開け、前に進む。それを杏は見守る。玄関の扉が閉まる。
杏は溶け、こぼれそうになっていたソフトクリームをペロッと舐める。
「青春だねぇ」
一言呟いて再度杏はリビングに戻っていった。
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