第2話 一つ上のあの先輩
気だるげな顔だけどバレーをしているときの先輩は真剣な顔をしているところ、結月の質問には初対面でも丁寧に答えてくれたこと、とにかく結月の心は先輩への大好きでいっぱいなのだ。
結月が大成を好きになったのは高校一年生の部活見学の時。
中学校から続けてきたバレーをどうしようかと考えながら体育館に向かった時、大成の涼しげな表情で体育館中に響くスパイクを放っているのを見て、そのとき結月は大成に一目惚れし、高校でもバレーを続けようと思ったきっかけになった。
…考えている間に前の人の会計が済み、結月はメロンパンとコーヒー牛乳を財布に入っていたなけなしの子遣いで購入し、先に戻っていった親友の
教室に戻ると結月はある人物に気が付く。そこにいたのは椅子に座りながら机の上に足を乗せ、姿勢を崩しながらスマートフォンを縦に指でスワイプする
そしてすぐに結月の存在に気付いた杏はこっちに手招きをしてくる。結月はまたかと言わんばかりのため息をつくと、杏が今座っている席の一つ右の自分の席に座る。
結月が席に座った途端に杏は、ヨイショと言いながらガチャンと音を立てて結月の机と自分の机を密着させた。そして先ほどまで凝視していたスマートフォンの電源を切り、机から購買で買ったであろうカレーパンを取り出した。
カレーパンを大口で頬張るこの女子は
杏の苗字が大成と同じなのはただの偶然じゃなくてこの二人が実の
結月は杏からお兄さんがいると聞いていたが、杏の家に遊びに行った時、お兄さんは部屋に籠って本を読んでたため、実際に顔を合わせたことは一度もなかった。
杏に浅見って杏と同じ苗字のバレー部の先輩がかっこよかったよと伝えると杏の表情が一気に固まり、「それ多分ウチのお兄ちゃんだよ」と言われた時、結月はとても驚いた。
ここで口の中から完全にカレーパンが無くなった杏が結月に話しかける。
「最近結月はお兄ちゃんとどーなのよー」
「先輩!?んー先輩が部活辞めちゃってからは時々廊下ですれ違うぐらいだからなぁ、てゆうか杏は大成先輩の妹なのに何でもっとこう、教えてくれないのよぉ」
杏はペットボトルの水で口の中のカレーを一掃して答える
「例えば?」
「むぅぅぅ…………好きな人のタイプとか?」
「じゃあ仮に結月にお兄ちゃんがいたとしてそれを聞きたいと思う?」
杏はカレーパンに再び大きくかぶりつく。
「なんか嫌かも」
「ほーゆーほと」
そこから結月は杏と先輩の好きなところを数分間話した。
「てかメロンパン食べないの?いらないならもらっちゃうケド。」
「ん?あ、忘れてた!もうチャイムなっちゃうじゃん杏もちょっと食べてっ」
数時間後
金曜日で部活がなかった結月はいつもより早く下校し、家に帰っていた。
「最近は昔に比べてスパイクが上手く落としたい場所に落とせなくなってきてる気がするなぁ」
結月は今日の昼休みに杏が言っていたことを思い出す。
「とりあえずなんでも相談したらお兄ちゃんとも話せるしなんとかしてくれるんじゃない?」
結月は高速で頭を回転させる。回転する椅子に座って物理的に。話したくても、いざ何か送ろうかと思うと、とても緊張するものだ。この文章は不自然ではないか、相手が応えてくれるのかどうか。
そして結月は数分間きょどりにきょどり、メッセージを大成に送信した。
『協力してもらいたいことがあるんですがいいですか』と。
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