所詮、割り切った関係ですから ~クラスメイトにお金で買われて彼女になる話~
タイロク
第1話 所詮、割り切った関係ですから
――私たちは、所詮お金の関係だ。
ブレザーを脱がされ、ブラウスを脱がされ、キャミソールまで脱がされて、顕わになった下着の上から胸を触られる。
そんなことをしつつも、美月は相変わらず退屈そうだった。
座っていてもベッドにつくほどの長い黒髪。
華奢な体に白い肌。パッチリとした大きな瞳。色はブラウン。毛ぶるように長いまつ毛は、ツンと上をむいている。
まあ、美人と言っていいだろう。キレイだ。見た目は。心は薄汚れているけれど。
外見だけは、美月は制服を着ていてもお姫様のように見える。
「なんか、まえよりも大きくなってない?」
口から零れ出てきた言葉は、やはりつまらなそうだった。
「そういうこと言わないで。キモい」
「今日も反抗的だね。かわいい」
美月の目に、チラリと笑みのようなものが浮かんだ。
いままでつまらなそうにしていたくせに、急に面白がるような顔になった。けれど、その笑顔はすぐに引っ込む。
――ムカつく。
いつもこうだ。服を脱がすとき、私に触るとき、いつもつまらなそうな顔をしている。まるでそうでなければいけないかのように。
それがムカつく。
どうせなら、楽しそうにすればいい。つまらなそうにするなんて、私に興味がないみたいじゃないか。
私にこんなことをしているくせに。
イライラして思わず美月を睨みつけるが、当の本人はどこ吹く風だ。相変わらずつまらなそうな顔をしているので、私はさらにイライラしなければならなかった。
が、その手が私のスカートの中に伸びてきたので、慌ててそれを振り払う。
「それはやめて」
「どうして?」
キョトンとした顔で小首をかしげる美月は、私が振り払った手を軽くさすっている。……ちょっと強くしすぎちゃったかな? でも、いまはそんなこと関係ない。
「どうしてって、そういう約束でしょ? 言うことは聞くけど、セックスだけはしないって」
私たちは、所詮お金の関係だ。愛情でもなければ友情でもない。私たちを繋ぎとめているものは、単なる〝打算〟に過ぎないのだから。
そんな関係の私たちが、肉体関係を結ぶなんてあまりにバカバカしい。
「
「は、はぁっ?」
美月が真顔でおかしなことを言い始めた。いや、ホントになに言ってるんだ、コイツ。
「だって私、ただスカート捲ろうとしただけだよ? それなのにいきなりセックスとか。ヘンタイじゃん」
「それは……」
そうかな? いや、そうかも。
ちょっと飛躍してたかもしれない。いきなりだったから焦っちゃったんだ。
「捲られるのがイヤなら、自分で捲って」
「美月のほうがヘンタイじゃん」
「どうして?」
「女子高生にスカート捲れっていうやつがヘンタイじゃなかったら世も末でしょ」
「じゃあ、私も捲るから朱莉ちゃんも捲って」
「そういう問題じゃないから。てか意味分かんないし」
「じゃあ、やっぱり私が捲るね」
なにが〝じゃあ〟なのかまるで分らない。
変なやつと思う間もなく、美月はまた私のスカートを捲ろうとする。
「もう、分かったからっ」
美月の手を乱暴に振り払う。乱暴すぎたかなとも思ったけれど、美月はまったく気にした様子はなく、私をジッと見つめていた。より正確には、私のスカートを。
せめてもの抵抗のつもりで、私はそっぽをむく。スカートの裾を両手で掴むと、腰のあたりまで一気に捲り上げた。
「これで満足?」
そっけなく訊く。こんなことさせてなにが楽しいのだろう。
女が女の下着を見て、なんになるというんだ。
「美月?」
返答がないと、それはそれで不安になる。視線を戻すと、美月は私のスカートの中をジッと見つめていた。
「ちょっと……なに?」
そんなに見られるとさすがに恥ずかしい。ていうか、同性といえどジロジロ見られて気持ちのいいものではない。
「朱莉ちゃん、スパッツ穿いてるの?」
「は?」
キョトンと小首をかしげて、予想外のものを見たような顔の美月。
意味が分からなかった私だが、そういえばパンツの上から見せパンの黒のスパッツを重ね履きしていたことを思いだした。
べつに恥ずかしがる必要なかったかも。
「スカート短くしてるんだから穿くでしょ。見えたらヤバいじゃん」
私の口調はどうしても素っ気なくなってしまう。でも、美月はやっぱり気にした様子はない。相変わらずジロジロ見てくる。
「そんなに珍しい? 美月だって穿いてるでしょ?」
「うぅん、私は穿いてないよ」
そうなんだ。ちょっと意外。
私も私の友達もみんな穿いてるから、女子はみんな穿いているものと思ってた。
ていうか……
「あんまりジロジロ見ないでほしいんだけど」
「どうして? いいじゃん。パンツじゃないんだし」
「そうだけど。でもヤだ。やめて」
「じゃあ、スパッツ脱いで」
「はっ?」
ケロッとした顔で言われて、私は思わず美月をまじまじと見た。
なに言ってるんだコイツ。なにが〝じゃあ〟なんだ。やっぱり訳が分からない。
「イヤなら私が脱がせてあげる」
言うや否や、美月は私の腰に手を伸ばしてきた。そしてスパッツを脱がそうと……
「ちょ、ちょっと……待って待って! 分かったからっ!」
体をよじって美月から逃れる。中途半端に脱がされてしまったスパッツを整えつつ、
「自分で脱ぐから」
一呼吸置いて腰を浮かせる。スパッツを脱いで、それを横に置いた。
「これでいいでしょ?」
「うん。よくできました」
からかうような言葉にムカッとする。けれど、美月は真顔だ。
それでまたムカつくような。意欲が削がれるような……
微妙な気持ちでいると、視線を感じる。見れば、美月の目は私の下着を見つめていた。
「ねぇ、あんまりジロジロ見ないでよ」
「どうして? それ、お気に入りなんでしょ?」
「べつに」
つい素っ気なく答えてしまう。すると、美月は小首をかしげて、
「私、お気に入りつけてきてって言ったよね。約束破ったの?」
責めるような口調ではない。単純に、疑問に思ったという様子だ。でも……
「お気に入りだけど、ジロジロ見られるのはイヤなの」
それが余計にムカつく。
やっぱり、私には興味がないように思えて、それが私の神経を逆なでるのだ。
「かわいいパンツだと思うけど」
「マジでキモイ。やめて」
下着を褒められるなんて、なんだか変な気持ちだ。あんまりうれしくない。
すこし強い口調で言っても、美月は悪びれた様子もなければたじろいだりもしない。
試しに睨んでみても、それは相変わらずだった。
「かわいいよ」
どころか、言葉を重ねてくるのだ。
「反抗的なところも」
そんなことを言われても、バカにされているようにしか聞こえない。
「好きだよ。朱莉ちゃん」
「私はキライ。美月なんか」
視線を逸らす。それでも、美月が笑みを浮かべていることが分かった。
手が背中に回る。ブラのホックが外されても、直接触られても、私はされるがまま。
そういう〝約束〟だからだ。
これも全てお金のため。断じて、私が望んでいるわけじゃないのだから――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます