第2話 謎の両替機を探れ!

第2章 謎の両替機を探れ!

「今日のこと、誰にも言ってないよな」

私が念を押すと、三人はうなずいた。

 もし親に話していたら、間違いなく止められていただろう。だが、四人は秘密を守った。二キロの道を、電車に乗らず歩く。遠回りをして、秘密の道を探し、知らない大人を尾行しては怒られて逃げる。笑ってしまうような話だが、当人たちは真剣だった。

 

やがてデパートに着き、屋上へ向かう。

「ここだ」

 私は両替機の前で立ち止まり、まず自分でやってみせた。

 チャリ、チャリ、チャリ――。

「本当だ……」

 N君もやる。成功。だがS兄、S弟は失敗した。

「こうやるんだよ」

 私がもう一度やると、また十枚出てきた。

 四人で大笑いした。だが、その声を、大人が見逃すはずもなかった。

「こら! 何やってるんだ!」

 係員が走ってくる。

 その直前、私は一人の大人と一瞬、目が合った。係員が走ってくる。嫌な目つきだった。あの人が呼んだのだと、すぐわかった。

 ここで、初めて、自分がとんでもないことをしていたのだと気づいた。

「ごめんなさい!」

 何度も謝ったが、許される雰囲気ではなかった。

「一緒に来なさい」

 エレベーターに乗せられた。狭い箱の中が、やけに怖く感じられた。

「あの……僕たち、どうなるんですか?」

「さあな」

 冷たく言われたその一言で、これから怒られることだけは、はっきりわかった。


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