第4話 で、君はどうしてグレたんだい?勇者くん

 二代目勇者、グレム・レスキウスは、今。

 逃げていた。

 何からか?


 決まっている。

 そう、それは−−。

 「待ってください、勇者さぁぁぁん!!」

 「来んなァァァァァァァァァァァ!!!」


 新しく来た、更生係。

 異世界転生者だと名乗る、この女。

 「処刑人のキヨ」−−清野喜代から。


 「ンでテメェなんかに、魔王討伐行けって言われなきゃなんねぇんだよ!やだわ!!絶対やだわ!!」


 「グレムさんなんでですか!勇者ってめちゃカッコいいじゃないですか!!」


 だかだかだかだか、私たちは走っている。

 貴様ぁ、そんなに好きか!

 イタチごっこがぁぁッッ!!!


 次の瞬間。

 勇者・グレムは、止まった。

 お?やっと話す気に−−


 「勇者が…かっこいい…?」

 

 あ、声がヤケに静かで、しかも妙に殺気がある!

 −−やばい。私は多分きっと。


 彼の地雷を踏みました。

 グレムは、淡々とした口調で言った。

 「勇者なんてかっこよくとも、なんともねーんだよ。…いいかよテメェ。次その話したら、殺す」


 そうガンを飛ばし、威圧感を出したまま。

 荒くれ勇者・グレムさまは、逃げるように宿屋へ行った。


 何が…あったんや…彼は。

 殺すとか、言い過ぎじゃないんですか?

 「神様ー教えてよう」

 『…』

 

 神様。再びシカト。

 −−これ、何?

 一種の伝統芸みたいな?

 

 …おもんないよ。すっげーおもんない!

 「…わからんわぁ…」

 『……』


 私はほぼ皮肉を込めて言ってやる。

 「…ッーわからんわぁ、よくわからんわぁ」

 無反応。


 ほーう、貴方はそう出るわけですか。

 ほうほう。

 よくわかった!!


 んじゃあ、力づくで。

 聞き出したらぁ!

 私はとりあえず。

 

 宿屋に行った。

 とりあえず。

 力づくであのグレ勇者から!

 更生させてやろうじゃあ、ないか!!


 コンコン、と私は扉を叩く。

 「ごめんなさーい!グレムさんいますか?」

 「…」

 返答なし。


 「あーのー!いますかー!」

 「…」

 シカト。


 何?私、嫌われてる?

 というか、彼いるのだろうか。

 「神様」

 不安になった私はとりあえず、Siri!みたいな感じで言ってみた。


 出ないんでしょ?

 どーせ、シカトでしょ?

 『呼ばれて⭐︎飛び出て⭐︎ジャジャジャーンっ、神です⭐︎』

 

 私は、言葉を失った。

 −−ごめん。

 まじごめん、こーゆー時なんて言えばいい?

 わからんぜよ。


 とりま、言ったことは。

 「…信用失うよ、あんた」

 だった。

 返答は。


 『黙れ人間。私に口答えしないでね?…ってかやっぱ私のことを舐めて−−』

 「ない」

 『はい、確定!舐めてる、このアリンコ』

 「ああ!?今、なんつった!?」

 『はっ!人間がなんか言ってら!』


 ダメだ、イライラする。

 こいつ(神)と喋ると無性にイライラする!!

 極め付けは。


 『ああっ!わかったぁ、貴方そーだった。元不良だもんね?ね?そっりゃああね?ウンウン、納得!こんな蛮族召喚したのどこどぉいつ〜〜?』

 −−プチっ。

 切れたのが、わかった。


 「てめぇだろォォォォォォ!!!!!!」

 神がここいたならば。

 この場にいたならば。


 私はきっとぶん殴っていただろう。

 つーか、これは確定だな!

 わっはっは!!


 ばきゃっ!

 −−というか、私はきっと。

 神がいようがいまいが殴っているから。


 怒りの度合いは関係ないのだ。

 そして、私はやりました。

 やらかしました。


 勇者の部屋のドアを。

 神への怒りで、ぶん殴ったら。

 拳がドアの向こう側まで行きました。


 つまり、壊した。

 途端に入るのは。

 「何やってんだ、このアマぁぁぁぁ!!」

 という、勇者の絶叫だった。


 「じゃ、話してください。」

 私はあの後。

 あんぐりと口を開く勇者を尻目に。


 今がチャンス!と言わんばかりに。

 彼の部屋にズカズカ入り込んだ。

 そして。今私、ベット占領してまぁす!


 「で。貴方はどうしてグレたんですか?」

 ニコニコした顔で言ってやろう。

 「勇者さん」

 

 その瞬間。

 勇者は、舌打ちした。

 −−まぁまぁ!反抗的だことぉっ!


 「んでてめぇに言わなきゃいけねぇんだよ」

 吐き捨てるように言って、部屋を出ようとする勇者。

 「あの!」

 「だから、俺らはお前みてーな奴を−−」

 

 勇者はキレ気味だが、そんなの知らん。

 私は彼の言葉を遮った。

 「そーやって逃げてばっかだと。めっちゃカッコ悪いですよ」

 勇者、動きが止まる。


 鼻で笑った後。

 「…逃げて悪りぃかよ。」

 おやおや?

 

 不穏だ。

 ブチギレ3秒前みたいな、そんな雰囲気。

 グレムは、続ける。


 「どんな奴にもいい顔してりゃいいのかよ、媚びてたらいいのかよ!」

 …おおっとう。

 これは、あれだ。


 ただの反抗心とか、ノリとかじゃなく。

 裏がある系だぁぁ!

 …殴るよりもめんどっちいじゃん。

 なんか、拗らせた男って。


 内心そう思いながらも、私は何も言えなかった。

 −−言ったら更に、キレるから。

 いや、ね?

 

 別にキレてもいいんだよ?

 ほら、最悪実力行使で分からせれば大丈夫だから。


 「べ…別に…媚びなきゃ…いいんじゃ」

 あれっっ!?

 なんか私の口が勝手に開いたぁぁ!!


 …グレムさんの反応は?

 「うるせーよ、外から来た人間が余計な口出しすんな」

 だった。


 私は直感した。

 そして、神様を恨む。

 随分とまぁ面倒臭いパーティーに私を、ぶっ込んだな!と。

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勇者のパーティー全員グレた!〜死んだ私が教育係〜 神坂774 @kamisaka774

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