第6話最終章

外界は相変わらず、

ノヴァ・エフェクトの影響下にあった。

人々はほとんど記憶を持たないが、ふしぎなことに、彼らの生活に混乱はなかった。

文字は消えたが、彼らには誰に教わるでもなく、互いに助け合うと言う行為を覚えている。

科学技術の知識はないが、道具を使い、火をおこす本能的衝動が残っている。

ある日、記憶を失った一人の青年が、雪に埋もれた古い研究所の廃墟を見つけた。

青年は、瓦礫の中から、奇妙なクリスタル装置を見つけ出す。

装置は僅かに光を放っているだけて、何の機能も果たしていないように見えた。

青年はクリスタルに触れた。

その瞬間、彼の頭の中に一つの鮮烈な感情が流れ込んできた。

それは、記憶でもない、知識でもない。

[人類は絶対に諦めない]

と言う猛烈な燃えるような熱意。

彼はその熱意に突き動かされるように、瓦礫の中から道具を集め始め、誰も教えなかったはずの設計図を雪の上に書き始めた。

彼の心の中には、永遠にあの日の二人の科学者が人類の夢を守ろうとした、あの瞬間の[熱意の季節(エターナル・シーズン)]が脈打ち続けていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エターナルシーズン 増岡幸樹 @36533653

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画