第4話謎の少女

[ア・・・リ・・・サ]

少女の名前だけが、喉の奥で詰まって出て来ない。

彼女は誰だったのか?なぜ、この写真が彼にとって重要な[アンカー]なのか?

ノヴァ・エフェクトの進行により、記憶は急速に劣化し始めた。

桜色がモノクロに変わり、少女の顔の輪郭が曖昧になっていく。

カイは自らの脳と装置を直結する最終手段に出た。

強烈な電気信号が走り、彼の視界が白く点滅する。

その一瞬、写真の記憶とは別の、ある日の情景がフラッシュバックした。

嵐の夜、二人は故障したデータサーバーの前で立ち尽くしていた。

[もう駄目だ、全ての研究データが消える]

絶望するカイに少女は言った。

[いいえカイ、データは消えても、私達の感情は残る。私たち自身の心臓が最高のサーバーよ。ねえ、いつかこの瞬間の気持ちさえも忘れちゃうのかな?]

彼女は自分の胸を叩いて笑った。

その笑顔を見た瞬間、カイの記憶の霧が晴れていく。

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