スローライフvs冒険 〜異世界転生したら記憶喪失になってたけど綺麗なお姉さんとスローライフできそうだからまぁいっかと油断してたら危険な冒険に巻き込まれました〜
第21話 エリナンデス・ホワイトのパーティー1
第21話 エリナンデス・ホワイトのパーティー1
翌日、朝食をとった後、セディアと2人で再びエリナ達の家を訪問した。
「「おはようございます」」
玄関ドアを開けてくれたのはエリナだった。
「おはようございます。2人とも、よく来てくれましたね。さあ、遠慮なく入って下さい」
家に入ると、他のメンバーも皆、挨拶してくれる。
そして————
「早速ですけど、これからの事、話させてもらいますね」
皆がくつろいだ中で、エリナが話し始めた——
初めは、エリナさんのパーティーに参加する上での話だった。
まず、僕らの役割。
僕は言うまでもなく、
そしてセディアは、主として戦闘以外のパーティーの支援役となる。
なぜなら、セディアは七魔人に対峙できないからだ。
——そう、普通の人間はそもそも七魔人に対峙することができない。
近づくだけで悪意の影響を受け、精神が汚染されてしまう。
エリナは、
そして、僕にも、その光を感じるということだった。
残念ながらセディアには感じないため、セディアは七魔人との戦いに直接参加はできないとのこと。
この話は昨日聞いており、セディアは残念そうに呟いていた。
「ヒロ君と一緒に戦えないのは残念だけど…… しょうがないよね」
直ぐにエリナがセディアを慰める。
「セディアさん、どうか気を落とさないでくださいね。私は、大分前から七魔人と戦うことを想定して、光を感じる冒険者を探してました。ギルドを介して数多くの冒険者に会ってきました。そして、やっと見つけられたのがガイ、テディ、マリアの3人です。できるだけ多くの仲間を集めたかったのですが、3人以外は見つけることができませんでした。そういう意味でも、ヒロさんと出会えたことに、運命を感じます。
——この光が、どういう理由で、どういう人が持っているのか、正直よくわからないのですが……」
「あ、ごめんなさい。もちろん、仮に私に光があったとしても、七魔人との戦闘なんて足手まといになるし…… 私のできることで皆を支援します! ただ、皆お揃いで羨ましいなって思って……」
セディアが恥ずかしそうに笑った。
そして今日、改めて役割の話がされた。
そのまま、テディが話を引き受ける。
「これから、ヒロの
僕の
マリアさんがちょっと不安だけど……
「ありがとう。テディ、マリアさん、よろしくね」
「任せてよ! サービスするって約束したしね。セディアがいないところなら、ヒロっちも安心してアタシに身を——」
「ヒロの
マリアに余計なことは言わせまいと、テディが横から被せてきた。
「それと、ヒロの
「そうよ、ヒロっち初めてでしょう? 経験豊富なアタシに任せておきなさいって〜」
もちろん、ありがたい申し出だけど、驚くのはマリアさんが冒険者で一番の神聖魔法の使い手ってところ…… 嘘でしょ? 全然、神聖っぽくないんだけど……
ここは皆、あまり深く考えたくないんだと思う。
直ぐにガイが話を引き継いだ。
「で、セディアには、師匠と俺の仕事をちょっと手伝ってもらうぜ。俺らのパーティーは、師匠がリーダーで、一応俺がサブリーダーってことでな。パーティーの運営…… まあ、雑用がほとんどで申し訳ないが、その辺りのサポートをよろしく頼むぜ」
「はい! よろしくお願いします。ガイさん、その……」
セディアが少し言いにくそうに話し出した。
「……もし、旅の合間にお時間があったら、私に剣を教えてくれませんか?」
「……ほう?」
「え、セディア、何で? そんな危ないことしなくても——」
予想外のセディアの発言に、僕は慌てて口を挟むが——
「まぁまぁ、ヒロ、まずはセディアの話を聞こうじゃねーか。どうしてまた剣なんて?」
「はい……」
セディアは理由を話す。
『仮メンバー』であまり戦闘が想定されない役割とはいえ、冒険者と行動を共にする以上、危険は避けられない。
守ってもらえるという話だが、それでも少しでも皆の足手まといにならないように強くなりたい。
いざとなったら、ヒロ君も守れるように……
是非とも国内最強の戦士ガイさんの剣を学びたい。
最後まで話を聞いたガイが、優しくセディアに笑いかけた。
「ちょっと前まで病院のお手伝いをしてたお嬢さんが、仮じゃなく、本物の新人の冒険者の気構えだな。素質があるって言ったのも俺だし…… いいぜ、人に剣を教える気はなかったが、そこまで言うなら手ほどきしようか」
「あ、ありがとうございます!」
「ガイさん、ありがとう。——でもセディア、無理しないで……」
「まあ、セディアもヒロも、安心してくれ。そんなに厳しく教えるつもりはないさ。だが、2人の将来のためにも、ありなんじゃないか? スローライフしている時に、魔物が襲って来るかもしれないだろ? セディアが戦えた方が安心なんじゃねーかな」
確かに、ガイさんの言うとおりかも……
僕はスローライフをしたいとずっと思ってたけど、どこにいたってスローライフを続けるには、それを守れるだけの強さが必要なんだ。
そのまま、今度はエリナが話を続ける。
「それでは、次にパーティ内の序列についてお話しますね。序列は、普段は気にしなくて大丈夫です。ただし、戦闘においては、序列の高い者が指示した場合は、命令と思って必ず従って下さい。そうでないと、罰を与えます!」
序列とか、罰だなんて、意外と厳しいんだな……
そう思ってると、セディアが発言した。
「普段はこうして皆で話し合ったりできるけど、戦闘中にそんな余裕はないから、ですね?」
「さすがセディアさん、察しがいいですね。そうです、戦闘中は一瞬の判断の遅れが命取りになります。複数の指示が錯綜した場合は、常に序列の高い者の指示を優先して下さい」
——そうだ、本当に命がかかっているんだ。
前世の、会社で上司の指示に従いましょうという話と通じるけど、ここでは直接命に関わることなんだ……
序列は、1位エリナ、2位ガイ、3位テディ、4位マリア、ということだった。
僕とセディアは仮メンバーなので、番外だね。
突然、テディが発言した。
「あ、そうだ、思い出した! お師匠様、僕への罰、まだじゃないですか!?」
え、テディへの罰??
エリナが、苦笑しながら答える。
「テディが言っているのは、『怠惰のリート』との戦闘の時、私ができるだけ遠くに撤退するように命令したのに、テディが戻ってきた件ですよね? あの件は、結果的に皆が助かったから不問にしましょうと——」
「いえいえいえいえ、お師匠様、お言葉ですが、それはいけません。信賞必罰です! 是非とも、お師匠様直々に、僕に罰を与えて下さい!」
テディの目は、ご褒美を待つ犬の如く爛々と輝いていた。
その様子を見て、マリアとセディアがヒソヒソ話す。
「セディア、見た? あれが調教された男ってもんよ。あなたのところ、いい感じに記憶喪失じゃん? 上手く調教すれば、あそこまで落とせるわよ」
「——うん、私、頑張る」
え? セディアさん??
「——と、とにかく、今はまだ七魔人討伐の途中で、大変重要な局面です。一旦、罰は保留とします。いいですね?」
「……はい、分かりました」
テディは、目の前の餌を取り上げられた犬の如く、しょんぼりしていた。
エリナは、テディを放置して皆に話を続ける。
「それと、『真紅の秘水』についてお話しておきます。効果のほどは先日お話したので、あとは誰がどう使うか、という話ですが——」
『真紅の秘水』——体力・魔力など、消耗した力を回復しつつ、攻撃力や精神耐性などの各種ステータスをアップする国宝級のアイテムだ。このアイテムがすごいのは、即効性がある上に、回復が全回だったり、ステータスのアップが大幅だったりするところにあるらしい。
「『真紅の秘水』は国王様より4本支給いただき、各メンバーで1本ずつ保持してました。『怠惰のリート』との戦いで私とテディが消費したので、今はガイとマリアが1本ずつ保持している状況です」
そうか…… となると、一旦マリアさんの分を回収して、エリナさんが持つのかな?
と思っていると、エリナは意外な言葉を続けた。
「当初話し合ったとおり、『真紅の秘水』の使い方は保持者に一任します。ガイとマリア、よろしくお願いします」
……え、そうなの?
一任って、その人の判断に任せる—— つまり好きに使っていいってことだよね?
ガイさんはともかく、マリアさんにそれを任せていいのかな?
僕の思いを察したんだろう、エリナが話を続ける。
「先ほど、序列の話をしたのに、一番大事な『真紅の秘水』は保持者の好きに使って良いって、変に思いますよね。私達も初め、この扱いに関しては色々なケースを想定して色々話しました。
——でも、結局、『真紅の秘水』の価値は皆わかっているので、この七魔人討伐という命懸けの依頼に参加する4人は、平等に自分たちの意思で使用できる権利を持つことにしたんです」
——なんとなくだけど、わかる気がする。
命懸けの戦いが続く中で、命を救える薬があって、その本数が限られていたとしたら、いつ誰に使うべきか……
状況によっては、誰かを見捨てて、誰かを助ける、なんてことが十分にあり得る。
だから、きっと明確な答えが出なかったんだ。
若干重い空気が流れる中で、マリアが発言した。
「アタシはね、最後まで使わないつもりよ。だってさ、これ売ったら、一生遊んで暮らせるくらいのお金になるんだよ。七魔人を倒せれば、その後に売って遊んで暮らせるし、ヤバくなって外国に逃げてもさ、これ売って何とかなるじゃん! だから皆、アタシに使わせないでよ〜」
「……色々と言いたいことはありますが、『平等に自分たちの意思で使用できる』と決めたことですので、我慢します」
「……もしかして、僕が死にそうになっても使わない気じゃない?」
「まあ、ヒロも来てくれたし、案外、本当に使わずに済んでくれるかもな」
「お、ガイはアタシの考えに賛成ってわけね? お金持ちになったら、養ってあげてもいいわよ〜」
そう、僕の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます