第14話 不穏な感じ 


 

 熱を出した私は、お休みをもらってゆっくり休んで回復した。

 餓狼やみんな祖母や歌利那さん、折り紙たちに感謝しないと。


『あ、瑠璃様! もう大丈夫なのですか?』

 廊下で、猫の折り紙私の使役のねねこが声をかけてきた。

 朝食の準備を始める所だ。

 

 「お早う、ねねこ。うん、ありがとう。もう大丈夫」

 『良かったです――!』と、ねねこは言って抱きついてきた。

 私もギュッとねねこを抱き返した。


 「あ! 瑠璃ちゃん、大丈夫なの?」

 歌利那さんも支度をして部屋から出てきた。

 心配をかけてしまった。

 

 「おはようございます、歌利那さん。昨日はお休みしてしまって、すみませんでした。もう回復しました」

 「本当? 瑠璃ちゃんは無理をするからなぁ……」

 歌利那さんは「体調を見ながらね? 無理をしないで」と続けて言ってくれた。

 「はい」と返事をしてキッチンへ向かった。


「おや。瑠璃、もういいのかい?」

 祖母の鈴子さんが先に、朝食の準備を始めていた。

 大根を切っていたので、大根が入ったお味噌汁だろうか。

 わかめを入れるのも美味しいし、豆腐入りも美味しい。

 「おはようございます。もう大丈夫。手伝うね」

 私もエプロンをつけて、祖母の手伝いをする。


 「鮭を焼いて、煮ものと大根のお味噌汁。それにお漬物。あとは……」

 祖母の朝食メニューを聞いて私や歌利那さん、折り紙たちが動く。

 ねねこは、お野菜を運んだりしている。

 「私は鮭を焼くわね」

 冷蔵庫から鮭を取り出して焼いていく。

 冷蔵庫のドアを開けたとき歌利那さんが卵を取り出した。

 

 「じゃあ、私は卵焼きを作るね! 瑠璃ちゃんは甘い卵焼きとしょっぱい卵焼き、どっちが食べたい?」

 歌利那さんが卵焼きの味付けを聞いてくれた。

 「今日は甘いのが食べたいな」

 甘い味の卵焼きが食べたかったので伝えると、歌利那さんが「OK!」と言った。


 「あれ? 餓狼は?」

 いつも私が遅いときは、起こしに来てくれる餓狼の姿が見えなかった。

 「ああ。良く寝ていたから起こさなかったと、言ってた。餓狼に外の掃除をお願いしたよ。そろそろ戻ってくるんじゃないかい?」

 祖母はお味噌汁を作りながら、私へ返事をした。

 

 『鈴子さん。掃除、終わったぞ』

キッチンにある裏口から餓狼が戻って来た。

 急にドアが開いたので驚いた。

 

 『あ、瑠璃。大丈夫か?』

 餓狼は私に気が付いて、ジロジロと全身を観察した。

 一番の心配性だから体調を気にかけてくれている。

「うん。もう大丈夫だから。ありがと」

『ああ』


 「用意が出来たら、いただきましょう」

「いただきます」

 「いただきます!」

 皆がそろったところで朝ご飯をいただいた。

 

 焼き鮭、野菜の煮ものと卵焼きに大根のお味噌汁。

 それにお漬物。

 あとはそれぞれ自分の好きなご飯のお供を添えていただく。

 私は甘い卵焼きを一番先に食べた。

 

 「甘くて美味しいです、卵焼き」

 笑顔で歌利那さんに伝えた。

 「食欲がありそうで、よかった。たくさん食べて」

 にっこりと歌利那さんは微笑んだ。お互い、にこにこと笑って食事をした。


 「今日は神社カフェで働けるかな? お悩み相談も、予約があるのだけれど」

 今日は神社カフェの営業日。予約も入っている。

 「はい。大丈夫です」

 休んだので回復できました、と歌利那さんに伝えた。



 開店準備をするために急いで片づけて、歌利那さんとカフェへ向かう。

 「予約のお客様が二組、入ってるわ。口コミで評判になっているみたいね」と歌利那さんが教えてくれた。

 「あれ? 瑠璃ちゃん。あそこ……」

 「え?」


 歌利那さんが指をさしたその先に、地面に何か落ちているのが見えた。

 私はそれに気が付いて走った。

 「瑠璃ちゃん?」

 近づき手に取ると、それは私の折り紙警備担当 式神だった。

 

『瑠璃!』

 餓狼が走ってこちらへ来た。頬に擦り傷のあるのが見えた。

 「餓狼! 大丈夫!?」

 餓狼の手には長い棒が握られていた。

 もしかして何者かが境内に入ろうとした? 

 私は餓狼の頬に手をかざして傷を治した。


 『すまん。取り逃がした』

 餓狼は、ちっ! と舌打ちをした。

 「どこかの式神?」

 実はたびたび、どこかの式神がうちの神社を監視するかのような動きがある。

 毎回、餓狼を始め、私や祖母の式神たちが守ってくれている。

 だけど……。


 「今回、私の折り紙が敗れた……。これは問題だわ」

 私は手のひらに乗せた、ぼろぼろの折り紙を見つめた。

 私の落ち度だ。

 

『いや……。数体が引き寄せ役で、正門を攻撃してきた。俺を含めそちらに集中していた。手薄になったところを、一体対多数で攻められた』

 餓狼は急いでこちらに来たのか、息が上がっていた。


 「……折り紙警備を増やすわ。ケガをした折り紙は私の元へ連れてきて」

『わかった』


 「何なんだろね? 陰険!」

 歌利那さんが怒っていた。

 たしかに、そこまでしてここ神社を探りたいのか。

 神社同士というお付き合いもあるのに、密かに探りたいことがあるのだろうか……?

 

 「歌利那さんにも折り紙護衛を増やします。外出するときは、気を付けてください」

 「わかったわ。気を付ける」

 ふう……と、歌利那さんは溜息をついた。


 複数とはいえ、餓狼の頬を傷つける式神たち。

 かなりの使い手だと思う。

 何が目的なのか、わからない。


 「瑠璃ちゃん。折り紙たちが守ってくれるよ」

 歌利那さんは微笑んで、私の両手をふんわりと包んでくれた。……温かかった。

 「そうですね。ありがとう、歌利那さん」


 「いざというとき、私が守るから!」

 そう言ってギュッと抱きしめてくれた。

 歌利那さんは、頼れるお姉さんだ。

 

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【折り紙師】かさねと「神社カフェ おりづる」 @rin_77

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