第5話


「ですからー……お二人合わせて一万ギルになります。もうしわけありませんが……。これは、全国のギルドの規定ですので……」



「なんでよぉ! この可愛くて、美少女の勇者のわたしがお願いしてるのよ! 別に値段をまけてくれとか難しい事を言ってるんじゃない! 勇者割引で無料にしなさい! って言ってるのよ!」



「ですからー……そちらの方も確かに、国の方から勇者優遇措置と言うモノはありますが……。最近は、勇者詐欺が横行しているとの通達がありまして。身分を証明出来るモノが無ければ……なんとも……」



「きーっ、あーもうっ! ハルトもそんなとこで突っ立ってないで! この受付嬢になんか言ってやりなさいよ」



「えー……。どうも、ご迷惑をおかけしました。すいません……」



「いえ……」



「なんで! 謝るのよっ! わたし達、別に悪い事もしてないし! 嘘もついてないじゃない! 身分! 身分って! そんなに身分が偉いわけ!?」



それを貴族出身のお前が言うか?



てか、剣を売ったりしなければこんな事にならなかっただろうに。



まあ、一文無しなのは俺も同じだから強くは言えないが。



ちなみに、この押し問答は、かれこれ三十分近く続いている。



冒険者登録には一人5000ギルかかるらしいのだが、こちらの世界の貨幣価値が分からないので、高いのか安いのかも判断がつかない。



そんなやり取りを続けていると、ギルド奥の扉がギィーと開き、一人の人物がやって来た。



「ったく、ギャーギャーうるせぇーなー!! こんなにうるせぇーと満足に昼寝も出来ねーじゃねーか! なんだ? 揉め事か?」



出てきたのは、見るからに歴戦の女冒険者だ。



右目には黒い眼帯。褐色の肌に引き締まった身体。



少し切れ長の大きな目に、腰には重厚な剣を携えている。



いわゆる、最高にクールな美人女剣士だった。



そして何よりも、俺の目に飛び込んできたのは――。



「猫耳、もふもふ獣人きたあああああぁぁぁぁーっ!!」



「あん? ボウズ! 獣人を見るのは初めてなのか?」



「はひぃ!」



おっと失礼。興奮のあまり声が裏返っちまった。



だが仕方ないだろ。



もふもふは、古来より男のロマンなんだから。



「あっ! ギルマス、申しわけありません……」



「ちっ! ソフィー! いつもギルマスじゃなくて、レイナで良いって言ってるだろ!」



ふむふむ。なるほど。



受付のキレイなお姉さんが『ソフィー』で、このギルマスと呼ばれている人が『レイナ』か。



……あっ、ダメだこれ。



個別イベントまで行かねーわ。



けど、裏ルートのフラグがあったらワンチャンあるかもしれねーな。



頼んだぞ作者。



俺は全ルート攻略したい派だからな。



……うん? さっきから「作者」って誰のことだ?

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