第一幕 抜忍
月が雲に隠れ、暗闇に包まれた闇の森の中。
草陰に身を潜め、息を殺し、辺りの様子を伺う影一つ。
彼の名は、影龍(かげりゅう)。
歳の頃は、十五というところか。
シーンと静まり返った森。
虫の声さえ聞こえない。
『…妙だ。……静か過ぎる。』
夜風がスゥーと通り過ぎた瞬間、影龍は、手に持つ刀に力を入れる。
『ムッ……!いる!!相手も、こちらの動きを伺っているのか?……痺れを切らせ、動いた者が確実に……死ぬ!!』
地面に伏せ、影龍は、相手の動きを探る。
『我は、岩となり、息を殺す……我は、命あるものではない……。』
影龍は、まるで呪文のように、己に、そう言い聞かせ、瞳を閉じた。
『このまま、朝を待つか…。その間に見つかれば、俺は、死ぬ事になるが……。』
フッと、己の存在を消した影龍は、そのまま、微動だにせず、朝を待つ。
忍びとの戦いは、ほとんど、明るい昼間が多い。
何故なら、夜は、暗闇に、目が見えぬ為、相手を確実に殺す為に、明るい時間帯に狙うのだ。
しかし、今回の追手(おって)は、夕方から仕掛けてきた。
という事は、相手は、夜の戦いに慣れた者か、あるいは、光を感じない盲目なのか。
かなりの長時間の戦いで、影龍は、心身共に疲れていた。
こんな時は、己の存在を消し、休む事も大事である。
暗闇に包まれた森の中は、ただ静かに夜風が吹くだけであった。
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