第4話 Q.E.D。怜は詐欺師。
「―――というわけで、荷解きも終わったことだ、TSVtuber化計画について話し合うぞ」
「そんな名前ついてたの?」
マンションに到着してから一日が経過。部屋は4LDK。一人一人に部屋が与えられた。まあ結局個室からリビングまで全部ゲーム機材で埋まってるわけだけど。
「まず、だ。事務所でも作ろうか?」
「それは必要なのかい?別に常識人ぶるつもりはないのだけどさ、チャンネル作ってからでもいいんじゃないのかい?」
「やるならガチで!これが俺の家訓だ!」
「う~んそう来たかー…」
悩むロディ。
「でさぁ、一晩寝て考えたんだけどよ、なんで俺ら日本まで来てシェアハウス生活なんて始めてるんだ?レイに言われて来たけどよ、ふつうそんな今までの生活なんて捨てて来るか?」
「…それは考えちゃダメなヤツでしょ?レイのカリスマに引っ張られたってことにでもしとこうよ」
バートが正気に戻る。
「いやいや、君たちがゲームできるなら何でも良いって話になったんだろ?」
ロディが呆れた様子でやれやれと首を振る。
「そういえばそんな話してたな…って!なんで美少女と美女ばっかなのにこんなことしか話してねえんだよ俺たち!なんかさぁ…もっとこう百合っぽい何かがさぁ!」
理想を語り始める
「レイ、もっかい考えてみろよ、俺たちはもう20歳を超えた大人だ。中身はな。んでな?昔のお互いの姿を知った上で考えてみろよ。俺は同性愛者じゃあねぇ」
冷静になったバートからの辛辣な言葉。
「いや、バート。よく考えてみろ。俺たちの中身なんて考えなきゃどうとでもなる。
百合豚がよ。
「ぐぅ…確かにそれは魅力的な…」
揺らぐなよ!最後の砦が!
「だから俺たちは世界の人々に百合という栄養素を与えるべくVtuberになるべきなのだ!」
「おぉ!確かにそうだな!」
こぶしを突き上げて立ち上がる怜と、それに賛同するバート。
「いやいやレイ、そんな話じゃなかったよね?レイって詐欺師かなんかなの?要求が最初のとずれてるんだけど?ドアインザフェイスだっけ?それすら違くない?」
「恐ろしい…筋金入りの詐欺師…」
ないない、と呆れた顔で手を振るフェイと、その後ろにちょこんと隠れて様子を窺うロディ。未だにオーバーサイズのパーカーを着ている。ロディ、小さくなったね。カワイイ…はぁ、はぁ…おっと。
「でも俺かわいいよね」
「どうした急に…」
「TSしたじゃん、テンプレ通りめっちゃ美人なんだよね」
「そういえばさ、どうしてアイドルにしないんだい?別に百合だけなら、なんなら顔を活かすためにはアイドルで顔出ししたほうがいいんじゃないのかい?」
ロディがフェイの後ろから疑問を浴びせる。
「え?いきなりアイドルとか陰キャにはレベルが高すぎるだけだが?」
「まあそうだよね。ボクもさすがにアイドルとなるとねぇ…」
「フェイ…お前TSの前からアイドルレベルでイケメンじゃねぇか…」
フェイの自己評価に呆れるバート。
「まあ冗談はここまでにして、とりあえず公なとこには顔出せないってのが一番の問題だな」
「どういうこと?」
フェイが聞く。
「よーく考えてもみろ。手続きに活動写真、エトセトラエトセトラ…俺たちは身分証明ができない。わざわざ病院に行って医者に原因を聞いてみるのも面倒だ。だから、顔どころか性別まで変わった俺達には無理ってわけ」
「ふーん」
「でもVtuberなら顔は必要ねえ。何なら身分証明もいらねえ。まあ事務所は作らなくてもいいが、どうせTSしたんだ、活かすにはちょうどイイだろ?」
「なるほど、かなり短絡的ではあるがまあ確かにゲームの時間を他の事に取られるよりはマシだな。Vtuberだったらゲームが上手ければ少しは話題にもなる」
ロディがうなずく。
「そういうこった!」
怜が指パッチンをする。
「じゃあとりあえず、モデル依頼するか?」
バートが提案する。
「まあ、どこに依頼するか決めてからな」
―――――
会社の休憩室で缶コーヒーを啜る。
先輩が、会社を辞めた。メールで連絡をしてきたらしい。私が入社した時にとてもお世話になった先輩だったが、辞めた理由はわからない。上司によれば、あの後連絡もつかないらしい。どうやら相当なゲーマーだったらしいが、それも何か関係しているかもしれない。
この会社は大手の不動産会社なのだが、副業を許している。
そして私は副業で絵師をしている。Vtuberのデザインなんかがメインだ。これでもまあまあ人気の絵師だ。大分稼ぎも多い。
「おい!
「あ、すみません!これ飲んだら帰ります!」
「気をつけろよ、俺もお前らにオーバーワークはさせたくないんだ。俺もさっさと帰って家族に会いたいしな」
まったく、優しい上司だ。私は恵まれてる。
ビルを出て駅へと向かう。電車に乗り数駅。マンションの自室へと帰りベッドへと寝転がる。今日は金曜日なので、明日は休みだ。だが、昼から絵師としての依頼人とのミーティングがある。どうもVtuberモデルの依頼らしい。
夕食を食べてシャワーを浴び、ベッドへ。
翌日、目が覚めた後シャワーを浴びて、朝ごはんを食べる。
その後依頼人とビデオ通話を繋ぐ。そこに出てきたのは、腰までの黒髪の少女、金髪の女、銀髪の幼女、黒髪ボブの少女の四人。
まあ随分美人揃いだな、と思っていると、髪が長い日本人系の少女が驚いた顔で声をかけてくる。
『あれ!?お前葛城じゃねーか!?』
いや、待て。何で私の名前知ってるんだ?あんな知り合い居たらすぐ気づくはずなんだけど。
「あの…どちら様でしょうか…お会いしたことありましたっけ?」
『いやぁ俺だよ俺俺!逢坂怜!』
「???」
ドユコト?
『ん?ああ、確かにこの姿じゃあ分かんないかぁ!』
「いやいや、先輩って男ですよね?流石に女装でも無理ですよね?」
混乱する…どう言うこったい!?
『俺たちTSしたんだよねー!』
「???」
怜が詳しいことを葛城に説明する。
「はぁ…それでVtuberやることになったんですか?なんかこうもっと…思慮深い人だと思ってたんですけどね…ていうか今こんな話を信じてる私も大概か…」
頭を整理しようと首を振る葛城。
『え?でもお前の会社での恥ずかしいエピソードとか身分証とか見せてやったじゃねーか』
「もうやめて下さい!私のHPはゼロですからね!?あと身分証は普通に危険ですよ!?」
『レイ…良い加減やめてあげなよ…』
『なぁ、コーヒー飲もうとしたのに苦過ぎてPCに零しちゃったとかな、可哀想過ぎるって…ブフォッ!』
半笑い、バートに至っては吹き出して怜を止めようとする。
「ニャァァァ!何でぇ!?私の黒歴史ぃ!何で話したんです!?」
『え、だってそうでもしなきゃ信じてくれなそうだったじゃん』
「信じますからぁ!信じますからもうやめて下さい!」
半泣きで怜に懇願する葛城。かわいそ。
葛城を泣き止ませるのに10分ほどかかった。
TSしてVtuberをやる。四人。 過ごす @SPEND
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。TSしてVtuberをやる。四人。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます