第2話 短絡思考LEVEL.MAX
「待て、誰だお前ら」
状況が分からず、頭を抱えながらとりあえず一番の質問を投げかける。
『こっちのセリフだよ』
とバートの画面に映った金髪美女。誰だよ。
もう一度画面を見返してみると、ロディの画面には白髪碧眼の西洋風の美女。バートの画面には明るい金髪の美女。フェイの画面には黒髪ボブの美少女。そして俺の画面には───黒髪を腰まで伸ばした清楚なお嬢様。
「???」
『待て、俺なんか変じゃないか?』
『ていうか君誰なの?バートはどこ?』
『君たち全員おかしいぞ…』
───混乱しすぎて逆に冷静になるまで5分ほどかかった。
「OKOK、とりあえずお前らご本人ということでよろしいのか?」
怜が習慣のコーヒーを啜りながら質問を投げかける。
『ぽいな』
『ボクはボクだもん』
『私もだね』
じゃあ、だ。
「何が起こった?」
『『『知らん』』』
「だよなぁ…」
ちなみにこいつら、朝起きてすぐ異変に気づかなかったのは、ゲームのことで頭がいっぱいすぎて自分の体のことすら把握できてなかったためだ。ゲーム馬鹿どもがよ。
「とりあえず日本の変態文化に置き換えると、この状況はTSと呼べる。この中に日本人(一部)のソウルとも言える(偏見)変態文化に造詣が深い奴はいるか?」
怜がいかにも博識そうな顔でそんな事をすらすらと言う。
『だいぶ偏向報道だと思うが…まあ一応俺は』
とバート。
『ヘンタイブンカ?TS?』
首を傾げるフェイ。君はそれでいてくれ。
『私はあまり知らないな。すまない』
律儀なロディ。
「まあいい。おいバート。この場合『病気TS』『上位存在TS』『薬TS』『転生…これは無いか…三つのうちどれだと思う?」
『俺は入れ替わりTSを推す!』
自信満々かよ。
「それはテメエの願望だろうが
『ぐぅっ!』
「はい論破ー!」
『レイ、それはネタが古いよ…今は2040年だよ?』
「ぐぅっ!」
可哀想な目で見つめるフェイ。そうだね。
『ひっどい会話だな、君たち』
なかなか蔑んでるな。
『お前は最初からずっと喋ってないだろうがロディ!』
『それはそうだと思うよホントに』
いきなり会話に入ってきたロディに辛辣な言葉。
「いっつも安全圏から見てるだけだもんなお前は。流石は戦略家様だ」
『君が一番嫌味ったらしいッ…!』
いつも通りの口論ノルマも済ませ、本題に入る…「んじゃ、この話は置いといてとりま一回ゲームするか。今日もL&EでOK?」
『まあいいよ。次は格ゲーで頼むぜ』
『違うよ!次はレースでしょ!?』
『麻雀をやってくれるんじゃなかったのかい…?』
「『『それは無い』』」
ゲームかよ!!!ゲームかよ!!!もうやだ!ナレーション疲れた!行動がゲーム廃人過ぎる!ヤダァァァ!
─────
ぐすん。どうも、ゲーム廃人たちに苦しめられてるナレーションです。労ってください。いや労われ。
「で、だ。誰かピストルでもなんでもいいからくれ」
怜は激戦区に降りた。だが単純に運が悪く、武器ゼロで追い詰められていた。数発撃たれ、シールドもおしゃかに。物陰に隠れて時期を伺っていた。さっさと死んじまえ。
『てかどこだよお前』
「え?サイレス島だが?」
サイレス島。L&Eの新追加マップである。新シーズンの武器がここでしか入手できないため、とっても人気。最初から最後まで銃声の鳴り止まないエキサイティングな島だ。勝手にそこに一人で降りて行った怜。
『…勝手に死んでろボケ』
バートが怒鳴りたい気持ちを必死で抑えて冷静に言葉を返す。
「うーん、どーすっか…パンチだけで倒せるかなぁ…?」
『縛りとして最悪すぎない?』
フェイがドン引きする。
『仕方がない、私が行ってあげよう』
「おっ!救世主!」
ロディが重い腰を上げた。今は軽そう(物理的)だけど。
ロディがマップを走り、サイレス島につながる橋へと向かう。丘を越えて滑ろうとした時、銃声。そしてダウン。
「この役立たずめ…」
『ひどくないかな!?ねえひどくないかな!?私一応向かおうとしてあげたんだけどな!?』
「結果を出せなければ何の意味もないのだよ!」
クズ。
『じゃあいいか。レイ、パンチ縛り頑張ってね。ボクは行かないからね』
「あっ!助けてくれよぉ!」
『ふっふっふ!私にあんな事を言ったからな!因果応報だ!』
『ロディ、君は普通に弱すぎ』
『ぬぅ…』
『ハハッ!パンチ縛りか!さぞかし面白そうだな!あとで動画でも送ってくれよ、レイ!』
「言ったな?やってやるよ!」
笑うバートに何故かやる気を見せる怜。
そして怜は物陰から走り出し───スクワッドを一つ壊滅させた。
『『『はぁ???』』』
ここで一つ今
そして武器を回収し、そこからはヘッドショットを決めまくってキル。スクワッドキル完了である。ここまで説明しててキモいと言う感情しか湧いてこない。
『ってパンチ縛りじゃねえじゃねえか』
『銃使ってるね、レイ』
「ずっとパンチでやれとは言われていない!」
『屁理屈こねるのが上手いよな、君…』
キルされて暇になったのか、椅子でダラダラとしているロディ。
『ロディ、それ以前にお前はエイムが悪すぎてなぁ…』
『わかってるさ!でもアクション系のゲームは苦手なんだよ!』
「でもこいつに指揮取らせたら強そうだよな」
『だね。ボクもそう思うよ』
まああとは特に説明することもなく、怜が無双して終わらせた。普通に説明しても頭がおかしいとしか思われないような神技と神技の応酬だったので。
「―――現実逃避はここまでにして、TSについて話を戻そう」
『やっとか』
やっとかぁぁぁ!ゲーム実況は苦手なんだよォォォ!
「まず、俺は病院には行かない。おそらく保険証見せても信じてもらえねえ」
『ふむふむ』
「で、だ。別に生活できないわけじゃない」
『おいレイ、それには大きな異議があるぞ!俺がスナック買いにいけねえじゃねえか!』
「だまれデブ!美女になったんだから太るな!」
『酷いな!?』
「どうせお前らも大会の賞金がたくさん残ってることだろう」
『『『それはそう』』』
「それで、お前らはなんとかして
『何だって!?君、私たちは身分証が役に立たなくなったんだぞ!?危険が過ぎる!』
「えっ、どうしよう」
『この顔はなんも考えてなかった顔だね』
「まあいいや、危険覚悟で来い。面倒は見てやる」
『だからさぁ…なんでそんなに来て欲しいのさ』
フェイが呆れた顔でこちらを見る。
怜がパン、と手を叩き注目を集める。
「まずお前らVtuberというものを知ってるか」
『まあそりゃあな』
『最近ブームが盛り返してきたよね』
「俺の推しは
『おう、そうか一応俺は
『それは聞いてないんだがね』
「で、今の俺たち、とってもキャラ立ちしてると思うんだ」
『『『???』』』
三人の困惑。
「だってさ、フェイは僕っ娘だろ?ロディはクール系だろ?バートは…俺っ娘だろ?」
『それはレイじゃね?』
『確かにそうだな』
「まあそこらへんはあとで考えるとして、そして俺たちはいろんなゲームの分野でプロなわけだ」
『そうだね』
「注目を集める要素、十分」
『おう』
「そして性別は女。男との恋愛も無い…無いよな?」
『多分…?』
「じゃ、Vtuber、なっちゃおうゼ☆」
『『『what???』』』
こいつらゲームできれば地獄でもいいんじゃないか、とナレーションは思いますね。
「いやいや、流石に地獄はなぁ…wi-fiないでしょ?」
いやいや、入ってくんなよ
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