TSしてVtuberをやる。四人。

過ごす

第1話 朝、TS。

コントローラーをカチャカチャと動かす音が暗い室内に響く。

「おいロディ!バートの援護に回れ!救急セットも持ってけよ!」

了解заметаноレイ!君は要らないのかい?』

「俺がやられるわけないじゃんか!なんたって俺の得意分野はFPSだぞ?」

『自信満々だなー君は…私の得意分野も戦略なんだがね…』

『ああっ!やられちゃったぁ!』

『なんだって!?フェイ、お前一人で前線突っ込んでった癖に…』

『バート、君も死にかけてるだろ…私に助けられてる分際で…』


通話アプリで会話する画面には4人の映像が映っている。

彼らがプレイしているのは、世界で人気なFPS、LEX&END。

多種多様な武器で人気を誇る。


彼らがプレイしているのは最高ランクであるH。Hから順に、He,Li,Be,B,C,N,O,F,Ne,Na,Mg,Al,Si,P,S,Cl,Ar,K,Caの二十段階。お分かりだろうか、元素番号一番から二十番という極めて単純なランクである。とにかくプレイヤー数が多く、やりこみ要素も多く、ランクも多い。


単純なゲーム性とその難易度ゆえに莫大な人気を誇っているのだ。


「日本に住む25歳の一般的な社会人(まあまあいい会社)である逢坂怜。彼はL&Eにおいてランキング3位を誇っていた。勘違いしないでほしい。彼は強い。マジで生活をゲームに乗っ取られたような奴にちょっと負けてるだけなのだ。


そして大体のシューティングゲーム、とくにFPSにおいてランキングトップになりまくってるすげー奴なのだ。


どう?俺すごくない?」


…ナレーションに割り込むんじゃねえ。

彼のハンドルネームはRAY。『光線』とか、気取りすぎじゃないかね。ケッ!


『おい、いきなりどうしたんだいレイ?まあすごいとは思うがね』


彼はロシアに住むロディオン・ズヴェーレフ。ちょうど今年で27歳だ。

白髪に青の瞳。アニメキャラかと思うが彼は普通に白髪だ。銀髪じゃなくて、白髪しらがだ。


ちなみに彼はストラテジーゲームにおいて世界でも最強格。様々な大会に名を残している。ハンドルネームはmastermaind策士。通称MMである。


『ケッ!自慢しやがってよ!』


画面の向こうでポテチを食うデブ。彼はアルバート・ハワード23歳。…彼とは気が合いそうだ。くすんだ金髪に茶色の目。痩せたら結構イケメンそうだ。こちらも例に違わずゲームが得意で、得意分野は格闘ゲーム。アクションゲーム全般もなかなかだが、格闘ゲームの上手さは群を抜いている。


こちらも世界トップクラスの成績を収める。ハンドルネームはobserver観察者。…専らブタファイターと呼ばれているが。


『まー死んだボクはなんも言えないねー…』


くるくる椅子で回りながら溜息をこぼす黒髪の美少年。ハクフェイロン飛龍…え?マジで?あれであのバカと同じ25歳?マジで???


…えへん。彼の得意分野はレースゲーム。もちろん世界トップクラスだ。ほわほわとしているが、運転の時は性格が豹変する。だから現実ではあまり運転はしないらしい。ハンドルネームはsusieスージー。中国語で運転手のことをスージーと言うらしい。


彼らが知り合ったのは3年前の日本ゲームフェス、通称JGF。呼ばれてゲストとして参加した彼らは、そこで知り合い―――怜のマンションで家飲みに持ち込んだ。


泥酔しまくって中を深めた四人はその後も一緒にゲームをしている、というわけだ。詳しい話はまた後ほど。


「Fu⚪︎k you!!!」


口が悪いぞテメエ。怜はリボルバーを弾倉に残る4発全てぶっ放す。全て敵に命中、ヘッドショットはそのうち2発。1発の弾丸が横を掠める。そのスナイパーライフルの射線を切り、リロード。怜を狙えるところを探し移動し始めたスナイパーを狙い、1発。しっかりヘッショを取り、キルする。


「何だってこんなに敵が多いんだ?」

『…レイがリボルバー縛りしてさっさと倒さないからじゃない?ボクの画面にはレイのインベントリにリボルバーしか見えないよ?回復アイテムも持ってないね?』

『テメェ…道理でリボルバーしか使ってないと…』

「チッ、バレたか」

『自業自得過ぎないか君…?』

「まだグレはあるからな」


しかしさすがは世界3位。リボルバーのみでアサルトライフルやサブマシンガンを持つプレイヤーたちを次々キルしていく。


戦況は大きく変わり、残りは七人。死んだフェイロンを除いた怜達三人と、生き残ったスクワッド一チーム。建物はだいたい吹き飛ばされ、瓦礫の山と平野のみ。


「それで?こっちにスナは居るか?」

『私は持ってないよ』

『俺もだな』

「ま、どうせお前らそこまでエイム良くねえもんな」

『…言ったね?』

『…格ゲーマーの意地見せてやらぁよ!』


二人の武器は、それぞれサブマシンガンとアサルトライフル、そしてハンドガンとミニガン…いや待てアルバート。お前なんでミニガン持ってる?


『ふん!ここまで弾を温存してきた甲斐があったぜ!』


バートが前に立ち、ミニガンを乱射する。


「オイ待てバート!何でテメエそんなロマン武器持ってやがる!格ゲーマーの意地って何だったんだよ!」

『ヒャッハー!今日のMVPは俺で決まりだなぁぁぁ!』


ミニガンは『弾食い虫』として恐れられるクソ武器の一角である。強いには強いのだが、一瞬で全ての弾を撃ち尽くしてしまう事からそう呼ばれる。


四人も居るからと焦って突撃を仕掛けたところにこの仕打ち。ちょうど撃ち尽くした時、三人がHPを削り切られてデスする。


残り一人。さあフィナーレだ、とバートがハンドガンを構えた時、後ろから飛んできた弾が相手のヘッショを決める。バートが慌てて視線を後ろに向けると、めっちゃ煽りエモートをかましている怜がいた。


「フィニーッシュ!いやぁ最後譲ってくれてありがとなぁ!」

『チクショウお前!マジでやりやがったな!?』

『これは流石にボクもドン引き…』

『ゲスいなぁ君…というか私何もしてないね?』

「『『それはマジでそう』』」


怒るバートにそれを更に煽る怜。そしてそれを見てうわぁ、みたいになってる二人。

そして大口叩いた癖に何もできなかったロディ。


「じゃ、今日はここまでなー」

『チクショウ、納得いかねぇ…』

『締まらない終わりだなぁ』

『まあボクはだいたい見てただけだから面白かったけどね』

「おやすみー」

『Good night』

『おやすみ』

『おやすみっ!』


通話が終わる。

シャワーを浴びてベッドにダイブする。


「うーん今日もいい汗かいたなぁ!」


明日は日曜日。朝から一日中ゲームをすべく、彼は眠りについた。


─────


翌朝6時。ゲームの時間だ。早いなお前。通話アプリを繋ぎ、ビデオ通話を開始。ここまで5分。


三人が通話に参加してくる。

そして───「誰だお前ら」

『私のセリフなんですけど』

『どうしたのキミたち』

『誰だよテメーら』


画面に映っていたのは、昨日見たのとは似ても似つかない四人であった。

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