第7話
佐藤太郎は、朝から興奮を抑えきれなかった。
あかりとのコラボ配信の反響が凄まじく、チャンネル登録者数は一夜にして5000人を突破。切り抜き動画がSNSで拡散され、関連ワードでトレンド入りさえしている。
コメント欄には「癒し系ヒーラーと無双おじさんのコンビ最強」「次はボス挑戦してほしい」という声が多数。
ならば、応えよう。
今日は単独配信。浅草低層ダンジョンのボス、スケルトンナイトを再挑戦する。すでに一度倒しているが、アプリのデイリークエストに「ボス級モンスター討伐」が含まれていた。
しかも、今回は生配信で全てを見せる。
配信スタート。
「おはようございます、たらおです。今日は単独で浅草低層のボス、スケルトンナイトに再挑戦します。みんな、ちゃんと見ててくれよ」
視聴者数は開始直後で1000人。すぐに3000人、5000人と跳ね上がる。
アプリのステータスを確認。
【レベル72】
【スキルポイント:12】
昨夜、新たに「危険感知」と「魔力基礎」を取得。軽い魔法も使えるようになった。
大剣を手に、最深部へ直行。
道中のモンスターは全て一撃。血と肉片が飛び散る描写をカメラは容赦なく捉え、視聴者を震撼させる。
最深部の部屋に到着。
スケルトンナイトが、復活したかのように再び鎮座している。ダンジョンの仕組みで、一定時間でリポップするらしい。
骨の体に古びた鎧、大剣を構えた姿は威圧的だ。
太郎はカメラを固定し、静かに距離を詰めた。
「行くぞ」
ナイトが動き出す。大剣が横薙ぎに振られる。
「危険感知」のスキルが発動し、攻撃軌道が頭に浮かぶ。軽くステップで回避し、反撃の一閃。
大剣がナイトの肩を深く斬り込む。骨が砕け散り、腕が一本落ちる。
ナイトが咆哮のような音を上げ、縦斬りを放つ。
太郎は跳躍。空中で体を捻り、ナイトの頭上に着地。全力で大剣を振り下ろす。
首の骨が粉砕され、頭部が飛ぶ。
さらに連続攻撃。鎧を砕き、胴体を両断。
戦闘時間、一分未満。
ナイトが崩れ落ち、魔石とアイテムをドロップした。
【レベル72 → レベル85】
【ボス討伐ボーナス:スキルポイント+8、レアアイテム「ナイトの鎧片」】
太郎は息を整え、カメラに向かって言った。
「倒せました。みんな、ありがとう」
しかし、配信はまだ終わっていない。
興奮のあまり、太郎は配信終了ボタンを押し忘れていた。
その直後、アプリから緊急通知。
画面に金色の文字が浮かぶ。
『神託の声:転生者よ、よくぞここまで成長した。だが、世界の異変は加速している。ダンジョンの深部に潜む「崩壊の核」を破壊せよ。それが汝の試練だ』
太郎の表情が凍りつく。
昨日あかりと見た異変魔石。あれが「崩壊の核」の一部だったのか。
さらに声は続く。
『報酬は、汝の望むもの全て。だが、失敗すれば世界は滅びる』
太郎は慌てて配信を終了しようとしたが、すでに遅い。
視聴者数は1万人を超え、コメントが嵐のように流れる。
『今のも生配信???』
『神託って何だよ』
『世界滅びるってマジ?』
『ガチで選ばれし者じゃん』
配信終了後、太郎はスマホを握りしめた。
切り忘れていた部分が、すべて録画されている。
動画をアップロードするか迷ったが、すでにスクリーンショットや切り抜きがSNSで拡散され始めていた。
数時間後。
チャンネル登録者数:15000人
ボス戦動画:50万再生突破
トレンド1位:「たらお 神託」
スポンサー企業からのメールが複数届き、収益化のオファーが殺到。
太郎は初めて、実感した。
自分の人生が、完全に変わったことを。
しかし、同時に重圧も感じていた。
アプリの「神託の声」は、本気だ。
世界の異変——それは、ただのゲームではない。
明日、あかりに相談しよう。
そして、もっと強くなる。
底辺だった男が、運命に選ばれた男として立ち上がるために。
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