第5話都市伝説の「見えない守護神」

廃村での一件は、思わぬ形で世間に広まった。

「カイト、見てこれ! 俺たちが映ってるぜ!」

 翌日、健介が興奮気味に見せてきたのは、Dチューバーが遠距離から撮影していた隠し撮り映像だった。

 映像には、リゼの放った超魔法と、その影で不自然に「消滅」した騎士の姿が映っている。

「これ、リゼの魔法で倒したことになってるけど、ネットじゃ『謎の守護神がいる』って大騒ぎだ」

 動画のコメント欄には、#バグった救世主 #透明なS級 といったタグが踊っている。

 カイトは冷や汗が止まらなかった。映像をよく見ると、騎士が消える直前、カイトが指をパチンと鳴らしたノイズがわずかに記録されている。

(まずい。特定班が動き出したら、定食屋にまで記者が来るぞ……)

 カイトはスマホの画面を凝視し、思考を加速させる。

「システム・パッチ。ネット上の当該動画、およびコピーデータの全パケットに対し、知覚阻害フィルタを適用」

 カイトの意志一つで、全世界のサーバーに散らばった動画データが書き換えられていく。人々がその動画を見ようとすると、なぜか「偶然」通信エラーが起きたり、画質が極端に荒れて肝心な部分が見えなくなったりする。

「あれ? 動画、削除されたか? 見れなくなっちゃったよ」

 健介が首を傾げる。

「運が悪かったんすかね。でも、有名になりすぎると定食屋の行列が増えるから、これくらいでいいですよ」

 カイトは笑って誤魔化した。

 だが、その日の夕方。カイトが一人で歩いていると、背後から冷ややかな声が響いた。

「動画を消したのは、あなたね? 神代海斗」

 振り返ると、そこには白銀凛が立っていた。彼女の手には、デジタル復元された「完璧な映像」が握られていた。

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2026年1月10日 18:00
2026年1月11日 18:00
2026年1月12日 18:00

F級荷物持ち、世界のバグを消去する〜最強の特権(管理者権限)を得たけど、行きつけの定食屋が潰れないことの方が大事です〜 たらこの子 @mentaiko327

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