3.十路迷子
街角にて
二人の子どもが横を走り去っていった。
すれ違う瞬間道を譲るとお礼のつもりか無邪気な顔で頭を下げてまた走って行った。
別に親切にしたわけじゃない。
同じ方向に歩き出してぶつかったら邪魔だなと思っただけだ。
退勤後の帰宅途中とはいえ、完全に日の落ちてない時間はまだ暑い。
道が陽炎で揺らいで見えた。
道路の白線を超えて、曲がり角を通り過ぎる。
その時、変な声が聞こえた気がした。
いちごを、……ろう。
歪んだ壊れたラジオから流れたようなざらついた声はよく聞こえなかった。
老人の声に聞こえた気がするが、周りには誰もいない。
無視して歩を進める。
曲がり角の先で小さな悲鳴が聞こえた。
泣き出しそうな顔で子どもが一人立っている。
もう一人は消えていた。
角を曲がり終えるような短時間でまるで煙のように。
車道と歩道を区切る白線の上に異様なものが立っている。
老人のように白い髪の子ども。
その姿も瞬きする間に消えた。
まるで最初から何もいなかったかのように。
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