第5話 #化け物を倒した結果

俺の身体は健康体になってベッドの上に寝転ばされていた。

削れた耳も元に戻り、疲労も無くなり……空腹すら感じていなかった。

なるほど。リスポーンした時に気分が悪くならないのは、これも理由なのか。


体調、体力、精神力の全快。

天井を見つめながらそれらを実感する。


そして俺は何が起こったかを考えることにした。



使った技――超速度で敵にぶつかる技、それがミサイルずつきなんだが。

それを使うと死ぬって事は、その速度に俺自身が耐えられないということ。


欠陥技すぎだろ!

普通そういう時って使用時の弊害を防ぐのも込みじゃねえの!?


「いや死ぬかもなとは思ったけど、試しに使った時と感じが違ったような…」


俺はステータスを表示する。


ラビビビ Lv.7

STR:8 DEF:18 INT:2 DEX:18 AGI:26 SPD:50


「あれ、レベルが上がってる」


レベルが2から7に上昇している…

ということは化け物を殺して得た経験値ということか。

ちなみに家のステータス項目を見てみたが、こちらのレベル上昇は確認できなかった。


俺は目を下に向け、スキルを確認する。



<<ミサイルずつき:威力はSPD参照 SPD100倍>>



【SPD100倍】



「100倍!?前見た時50倍だったよな!?」


100倍ということはSPD3000。

自分が死んだ事に対する納得はした。

しかし絶対に刻もうとしない異常な倍率だけは納得できなかった。

この世界スキル依存すぎないか?


というかいつ倍率上昇したんだよ!


仮に3000がマッハいくつかだとしよう。

そんなもの生身の生き物が使えば、鼓膜も目も潰れ、息もできない。


「もう自爆技じゃねーか!」


手で顔を覆う。

俺はもっとこう、身体は五体満足のままでぶっ飛ばすくらいのイメージだったんだが…

あまりにも必殺技すぎる。お互いの。



悩んでも仕方がない、ということで気を取り直す。

とりあえず化け物を倒したかどうか分からなかった為、それを確認すべく

外へ向かおうとする。そして俺がベッドから降りようと立ち上がった時。



窓ガラスが破壊される!


「うおおおっ!!」


思わず声を上げて、破壊音の方向を見ると…

そこには俺のスマートフォンがあった。

なんのことはない、自動追尾が機能しているだけだった。


「ああずっとついてきてたのか……てか壊すんじゃねえよ!!」


割れた窓ガラスの掃除は後として、俺はまず化け物の確認に向かう。



***



結論から言うと、俺と化け物が戦っていた場所にはほとんど何も無く…

辛うじて残っていたのは、敵側の片足…の、更に端。

蹄らしき部分の欠片だけだった。


当然俺の死体は行方不明だ。


直視すると<<蹄の一部>>とだけ表示されていた。


それを結界内に持っていくと、解体の文字が目の前に浮かぶ。

俺は選択肢から肯定を選ぶ。


1という数字が、俺と家の経験値表示に割り振られていた。


「あ、俺にも入るのか」


目を覚ました後、自分のステータス表示を見た時に、レベルが2から7へと上昇していた。

タイミングを考えると、敵を殺した時に得られるものとして見ていいだろう。

そして現在、数値は1だったけど再度俺にも経験値が入った。


これ二重取得だよな?経験値の。


殺して経験値を取得して、更に解体すると再度自分にも経験値が割り振られる。

ということはレベル上げの効率を考えるとなると

いかに相手を欠損させずに殺せるかが重要になるのか?


ミサイルずつきと相性最悪じゃねーか。


それに加えて、今回の解体でビー玉――スキルが形になったもの――は出なかった。

確率か、はたまた解体部位が少なかったか。


うーん、1スキルで無双ドーン!とは中々いかないもんだなぁ。


気を揉んでいると、ふと浮いているスマートフォンに目がいった。


「やべそういや配信してたんだった!!」


化け物が槍を投げ、それを回避した後から配信をしている事を忘れていた。

これが先ほど窓ガラスを破壊して、それを見ているにも関わらずにもだ。


いやでも仕方ないよな。外配信したことないんだし!

それに全部独りであれこれ考えないといけないからどうしても意識が外れるんだよ。

パソコンの前だけならそんなことないんだけどさ!


と言い訳を考えながらスマートフォンの画面を見る。



<<同接0>>



「――~~~……! ッはぁ……」



俺にとっては普通の事なんだが、今回ばかりはそれでも久しぶりに肩を落とした。


というのも、今回は個人的にかなり特殊な外配信を行っていて

大分体力を消耗していたからだ。リスポーンして全快したけど。

その上精神的にも疲労していたのだから、その分徒労感が芽生えてしまっていた。


だからこそ、0という数字はすこぶる効いた。


……あ。


スマートフォンの画面を見る。

回線に関してはWi-Fのアイコンが表示されている。

それよりも俺はそこに表示されている時間に目を向け…

漸くそれに気づいた。



「――失敗したッ!!!!」



俺は "絶対にやってはいけない事" をしてしまっていた。


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異世界ラビットちゃんねる~ケモノと化した俺と地球の視聴者で異世界を攻略しよう!~ 肉塊丸 @Nikukaimaru29

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