第6話炎上商法の代償と、謎の美女マネージャー
魔王の寝顔動画が世界累計100億再生を突破した翌朝。
俺、ハルトが拠点にしている砦の周辺は、かつてない熱気に包まれていた。
「ハルト様ー! サインください!」「魔王を笑い者にした勇姿、マジで推せます!」
砦を囲んでいるのは、魔族の軍勢ではない。俺の配信を見て「魔王軍って意外とユルくね?」と勘違いして押し寄せた、野次馬と熱狂的なファンたちだ。
「ちょっとハルト、この状況どうにかしてよ! 砦の入り口がファンレターと差し入れの肉で埋まってて、外に出られないわ!」
リリスが悲鳴を上げる中、俺は端末の「分析画面」を見つめていた。
「フォロワー数は一千万を突破……だが、エンゲージメント率が下がってるな。魔王をネタにするのは一度きりの劇薬だ。次の一手がないと、すぐに飽きられるぞ」
2026年の配信界と同じだ。過激な動画でバズった後は、急激な「飽き」がやってくる。
その時、砦の空間がぐにゃりと歪み、一人の女性が姿を現した。
タイトなスーツに身を包み、知的な眼鏡をかけた銀髪の美女。
彼女の手には、俺の端末ともリリスの端末とも違う、黒塗りの「事務用魔導端末」が握られていた。
「……分析、完璧ですね。ハルト様、あなたの課題はコンテンツの継続性(サステナビリティ)です」
「誰だ、あんた。不法侵入(アポなし)は配信外にしてくれよ」
「失礼いたしました。私は魔導ネットワーク管理委員会のエージェント、アイリスと申します。平たく言えば……あなたのマネジメントを申し出に来た、業界のプロです」
鑑定結果。
魔導ネットワーク管理委員会・広報官アイリス。
フォロワー数、非公開。
スキル、契約の絶対遵守。
「マネージャー? 俺は一人で好き勝手にやるのが性分なんだが」
「今のあなたは、巨大な力を持ちすぎた素人です。魔王軍はすでに、あなたの配信を『著作権侵害』と『名誉毀損』で訴え、魔導ネット上での法的抹殺(強制垢バン)を画策していますわ」
アイリスの言葉に、リリスが息を呑む。
「……法的抹殺!? そんなの、魔王様が直接手を下すより残酷だわ。ネットから消されたら、ハルトの力はゼロになる!」
「そこで私の提案です。ハルト様、魔王軍に対抗するために『公式ギルド・チャンネル』を設立しませんか? 企業案件や公式コラボを解禁し、公的な保護を受けるのです」
アイリスが差し出したのは、契約書。
そこには「第1回・世界最強配信者決定戦(聖域トーナメント)」への招待状が添えられていた。
「魔王軍が主催する公式大会か。……罠の臭いがプンプンするな」
「ええ、罠です。ですが、そこで優勝すれば、あなたは魔王軍を法的に、そして物理的に『買収』できます。……どうされますか、ハルト様?」
俺は端末を掲げ、カメラをアイリスに向けた。
「面白い。……みんな、聞いたか! 次の企画は『魔王軍を丸ごと買収してみた』だ! チャンネル登録して待ってろよ!」
次の更新予定
拡散力(シェア)が物理ダメージに変換される異世界で、炎上商法による一撃必殺を極めようと思う たらこの子 @mentaiko327
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