第3話四天王と強制コラボ生放送
騎士団を全裸で敗走させた動画は、瞬く間に世界を駆け巡った。
俺、ハルトのフォロワー数は、王都の人口を軽く超える二百万人に達しようとしている。
「さて、次は拠点の確保だな。野宿の実況も悪くないが、そろそろ画角が飽きられる」
俺が端末のコメント欄をチェックしながら森を歩いていると、不意に上空から凄まじい威圧感が降り注いだ。
空を切り裂き、一人の少女が舞い降りる。
背中にはコウモリの翼、その手には俺の端末よりも遥かに豪華な、公式マークが輝く魔導端末が握られていた。
「見つけたわ、新参者のゴミ配信者。私の聖域を汚した罪、万死に値するわよ!」
画面に表示された鑑定結果が、俺の背筋を凍らせる。
魔王軍四天王、広報担当リリス。
フォロワー数、五百万人。
「うわ、本物の公式マーク持ちじゃん。威圧感が違うな」
「当たり前よ! 私は魔王軍のカリスマインフルエンサー。あんたみたいな無名の炎上商法、私の拡散魔法で一瞬で垢バンしてあげるわ!」
リリスが端末をタップすると、空中に無数の赤い文字が実体化した。
誹謗中傷の雨。
死ね、消えろ、つまんない。物理的な質量を持ったアンチコメントが、音速を超えて降り注ぐ。
直撃すれば肉体が消滅する、負の感情の弾丸だ。
「面白い。……なら、こっちはリスナー参加型で行かせてもらうぜ!」
俺はスマホのコラボ機能を強制起動した。
ハルトの端末とリリスの端末が、魔力の鎖で強引に同期される。
「みんな、頼む! 応援コメントでこいつの弾幕を相殺してくれ! 一コメントにつき一枚、俺の物理シールドが生成される!」
画面にコラボ開始の通知が飛ぶと、俺のリスナーたちが一斉に反応した。
ハルト負けるな、神回確定、八八八八八八八八。
俺の周囲に、凄まじい速度で光の盾が積み上がっていく。
リリスの悪口が、ファンの声援にぶつかり、火花を散らして消滅していく。
「な……!? 私の五百万フォロワーの攻撃を、たかだか二百万人の同接で防ぐというの!?」
「リリス、お前のフォロワーは恐怖で縛られた数字だろ? 俺のリスナーは楽しみで集まった連中だ。一人の熱量が違うんだよ!」
俺は空中を蹴り、一気にリリスの懐へ飛び込む。
画面上の投げ銭ゲージが最大まで溜まり、俺の拳が虹色に輝き出した。
「これがお前への、最大級のスーパーチャットだ!」
虹色の衝撃がリリスの端末を直撃し、彼女の公式マークが粉々に砕け散った。
「な……私の、私のフォロワーが、こいつのチャンネルに吸い込まれていく……!?」
「はい、というわけで緊急ゲストのリリスちゃんです! 今から彼女と一緒に、魔王軍のブラックな内情について暴露トークしていきまーす!」
端末の中では、三百万人の同時視聴者が狂喜乱舞していた。
これが、後の世界を揺るがす「地獄の暴露配信」の幕開けだった。
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