店を出てから

白川津 中々

◾️

 お店が終わって外に出ると、夜の街に輝く居酒屋のネオンが「お疲れ様」と囁いているのである。


 もちろん本当にネオンが口をきくわけではない。これはものの例えだ。しかし客の中にはそれすら理解できない輩がいるために一々説明する癖がついてしまって、普通の人から「馬鹿にしてる?」と半ギレられてしまう場面もまぁまぁある。職業病だ。


 さておき、仕事終わり。アテをつまみながら飲みたい気分。毎日毎日よくないなぁまた太っちゃうなぁと思いつつも脳死で暖簾を潜りサワー、チャンジャ、ポテサラ、串盛り、アヒージョを頼む。まったくユニバーサル。統一感のない国際的なオーダーに厨房も困惑しているかも……いや、いつものオーダーだ。慣れたものに違いない。


「お姉さん。一緒に飲もうよ」


 仕事終わりに馬鹿の相手はしたくない。サワーを運んできてくれた店員に「この人無理です〜」とお願いして退場いただく。早慶以上の大学を出るか顔面偏差値70以上になってから再挑戦してくれ。


「はぁ……」


 サワーを一口。漏れる感嘆。

 夜の街では夜の女の数だけ溜息が重なり、ついでに脂肪も増えていく。〆をどうするかは、酒と料理を片付けてから考えよう。とにかく今日も、お疲れ様でした。

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