第9話 危ない参加者
――違う。
これは、モンスターじゃない。
雷の流れを制御しながら、俺はそう判断していた。
動きがある。
感情がある。
暴走した参加者だ。
それも、かなり厄介なタイプ。
配信画面の端で、コメントが流れる。
・なんだあれ
・人倒れすぎ
・地形割れてるんだが
・参加者だよな?
現場を見る。
床は裂け、壁は崩れ、
参加者たちは全身に傷を負って倒れている。
致命傷はない。
だが、放置すれば二次被害が出る。
・殺してない?
・即死はいないっぽい
・でもやばすぎ
中心に立っているのは、包帯で全身を覆った一人。
……やっぱり。
視線が集まっている。
雷も、人も、カメラも。
・入口付近にいたやつだ
・さっき映ってた
・あの時よりひどくね?
・同一人物だろ
既に存在は認知されているらしい。
俺は一歩前に出る。
雷を、呼び戻す。
「──襲来雷律」
落雷じゃない。
雷が、空間に従って集束する。
出力は抑える。
殺す気はない。
狙いは、制圧と麻痺。
雷を、包帯の参加者へ向けて放つ。
──通った。
だが。
「……っ」
同時に、俺の身体にも痺れが走った。
・え?
・今痺れてなかった?
・雷返ってきてる?
……反射か?
厄介だな。
包帯へ視線を向けた瞬間――
空気が、軋んだ。
床に、新たな裂傷。
・来る
・目合わせたらダメなやつ
・さっきから視線で地形割れてる
被与ノ傷。
注目が、攻撃になる。
ここで向き合えば、被害が拡大する。
俺は即断した。
「……離脱する」
雷を、自分に集束。
「伝来雷律」
雷が、走る。
伝播。
移動。
次の瞬間、俺の姿は戦場から消えていた。
距離を取る。
視線を切る。
背後で、地形がさらに崩れる音がした。
・逃げた?
・いや正解だろ
・殺し合いになってないのがすごい
・あれ対処ムズすぎ
呼吸を整える。
痺れは残っているが、動ける。
……なるほど。
倒す対象じゃない。
捕縛対象でもない。
あれは。
関われば被害が広がる参加者だ。
・入口から追ってきた感じか
・移動スキルありそう
・人の多い場所に出るのやばい
配信画面を一瞬だけ見て、視線を切る。
理解した。
あの参加者は、
見られるほど、壊れる。
そして。
・怖いけど目離せない
・次どうするんだこれ
・運営出てこい案件
……面倒だ。
だが。
モンスターじゃない。
人だ。
だからこそ――
間違えると、死ぬ。
俺は、雷の流れを再編しながら、
次の手を考え始めていた。
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